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【オープンイノベーター列伝/瀬川秀樹】 忖度(そんたく)するな。まずは個人がオープンになれ。<前編>

【オープンイノベーター列伝/瀬川秀樹】 忖度(そんたく)するな。まずは個人がオープンになれ。<前編>

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今回のオープンイノベーター列伝は、新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる瀬川秀樹氏にインタビューを敢行。瀬川氏は32年半リコーで勤めた後、Creable(クリエイブル)を設立。新規事業のコンサルティングや若手育成などを行っている。リコー勤務時は、光ディスク国際標準化委員会の日本代表団メンバーを務めたほか、シリコンバレーでCVCの設立、技術企画や新規事業の創設を経験。イノベーティブな動きと深く関わってきた人物の一人だ。


■やってみよう、の姿勢で次々と新しいことを始めた。

瀬川氏はリコーでの会社員時代、当初から新しい領域へ挑戦の連続だったと話す。「入社してすぐに光ディスクの開発を任されることになりました。リコーにとっては新しい分野で、私は大学で光ディスクの研究を企業と行っていたこともあって、新人だったのにも関わらず、専門家の扱いをされ、大きな権限を与えてもらいました。大学時代の専門領域だった微細加工だけでなく、いつの間にか電気や情報やメカ分野などにも関わるようになりました。でも、専門は微細加工で、光ディスクについては大学で企業と共同研究しただけ。それでも、『瀬川やれ』ということになって、『やります』と返事したんです。ありがたいことに大きな権限を与えてもらって、いつの間にか、その領域の専門家として見てもらえるようになりました。手がける範囲も徐々に広がり、微細加工専門の私が、メカ領域にも手を出すようになったんです。自分の領域を超えるという意味で、オープンイノベーションっぽいですよね」。 その後、瀬川氏は、光ディスクの日本の規格を世界標準にしようという「国際標準化委員会」のメンバーに選出される。「これについても、上司からの指示で行っただけでした。国際標準化委員会というのがあるから行ってこい、と。そして、あれよあれよといううちに日本代表団の一人となりました。結果として私は、自分の専門領域をはみ出し、企業をはみ出して、最終的には日本をはみ出し世界に出ていきました。でも、自分から手を挙げてこれをやりたいとは言っていません。やれと言われたことをやっただけなんです。ただ、今考えれば、ここまでは言ってない、という範囲を勝手にやっていましたね。今の若い人はまじめで、指示を正確に守ろうとします。内容を事細かに確認しますが、そんな必要はないんです。上司も上司で部下に細かすぎない指示を与え、やらせてみる。これがいいんですね」。  

■シリコンバレーでCVCの設立、事業の企画から創設、運営、撤退までを経験。

瀬川氏は光ディスクの開発に携わった後、企画部門に異動。大きな転機が訪れるのは1994年。ブラウザが普及したことで、インターネットが爆発的に広まった年だ。これに合わせ、リコーはITの本場シリコンバレーで活動を展開することになり、CVC(Corporate Venture Capital)の設立にも乗り出す。それにあわせて瀬川氏は1997~2002年までCVCの設立から運営を任されることになった。「CVCは金融で、これはもうまったくの専門外です。しかも、当時は英語のレベルも低かったので、言語・専門の両方の二重苦でまったくわかりませんでしたから、最初の1年は辛かったですね」。しかし、この時、CVCの有用性を感じ取る。社内で開発ができない段階でも、投資という手段でベンチャーや研究所と関係性を構築しておくことができ、必要な動きをすぐに取れるようになるからだ。 そして、シリコンバレーで瀬川氏は新規事業をスタートさせている。今で言うクラウドストレージに近い製品を手がけたのだ。「CVCの元々の役割は企画まででしたが、現地でプロトタイプを作ることになって、その流れで結局、事業立ち上げも行うことになり、開発、設計、生産コントロール、QA、PR、販売まで全部現地でやることになりました。売上が思うように上がらず、事業は3年で撤退することになりましたが」。瀬川氏は結果、シリコンバレーにいた5年半の間に新規事業の企画から、立ち上げ、運営、撤退まで、一連の動きを経験した。


なお、10月12日(水)公開予定の瀬川氏のインタビュー後編では、リコー入社後に新規事業でシリコンバレーに駐在した後のキャリア、そしてオープンイノベーションに必要なことは何かを語っていただいた。 (構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐藤淳一)

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