三井化学 | 東大発スタートアップ・エレファンテックと提携し、名古屋工場内の建屋・インフラを提供
三井化学株式会社とプリンテッド・エレクトロニクス分野のスタートアップ企業であるエレファンテック株式会社は、インクジェットによる新しいものづくりの生産技術開発と量産化を推進するため、戦略的提携に合意した。
今回の提携で、ICT材料新事業の創出を目指す三井化学はエレファンテックに対し出資を行うと共に、三井化学名古屋工場(愛知県名古屋市)内の建屋及び工場インフラをエレファンテックに提供する。エレファンテックは三井化学の支援のもと、2020年9月完工を目途にインクジェットによるフレキシブル基板製造の量産ライン(最大で5万m2/月)を構築するとともに、新たなものづくりを実現するインクジェット製造ラインの開発を行う。両社は、インクジェットによるプリンテッド・エレクトロニクス及びAdditive Manufacturingのための生産技術及び材料開発を推進し、ものづくりの可能性の拡張を目指すという。
エレファンテックは、「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」という企業ミッションの実現に向け、これまでの15分の1のエネルギー量、13分の1の水消費量でフレキシブル基板の製造を可能にするインクジェットによるフレキシブル基板製造事業を拡大している。さらに、立体樹脂上への配線形成やバイオセンサ材料の印刷など、同技術の応用範囲を広げる開発・市場開拓を実現していく。
三井化学は、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージングをターゲット事業領域として幅広く事業を展開している。さらに、新事業・新製品創出に向けてはベンチャー企業との連携などオープンイノベーションを積極的に推進している。
■エレファンテック社長の清水信哉氏のコメント
「桁違いに少ないエネルギー消費量、水消費量での製造を実現するインクジェット生産技術は、将来的に必ず生産技術のスタンダードとなっていきます。一方で、我々のような技術系スタートアップがスケールアップする上で、量産体制の確立は大きな課題でした。今回、三井化学の工場インフラをそのまま使わせて頂くことで急速な量産体制を行い、かつ技術開発面でも協力するというスキームは、大企業とスタートアップのあるべき連携の姿としてもエポックメイキングな事例になると考えております。」
■三井化学代表取締役専務執行役員CTO 松尾英喜氏のコメント
「三井化学は、新たな顧客価値を創造し、事業活動を通じた社会課題の解決を目指しています。環境貢献価値の高いインクジェットによる革新的なものづくりプロセスは、これからのものづくりが目指す姿のひとつであるとともに、素材に求められる可能性の拡大でもあります。当社の加工技術が集約する名古屋という地の利を活かして、プリンテッド・エレクトロニクス分野を皮切りに、インクジェットによるAdditive Manufacturingの拡大と社会実装に向けて、素材から革新を起こしていきます。」
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)