【イベントレポート】ついに「eiicon」サービス提供開始! ローンチイベントを開催!
2月24日(金)、ついに「eiicon」のサービス提供を開始しました。「eiicon」とはオープンイノベーションのパートナーを探す、ビジネスマッチング・プラットフォームです。企業は、企業情報をはじめとするミッションや、事業成長に必要なリソースなど、さまざまな情報を「eiicon」に登録することができます。それらの情報を発信し合い、企業同士がつながることができる場が「eiicon」です。2月23日(木)、「eiicon」のサービス提供開始を記念し、イベントを開催しましたので、その模様をご紹介します。
会場となったイベント&コミュニティスペース dots.(東京都渋谷区)には、「オープンイノベーション」を実践する大手企業の新規事業担当者さまや研究開発担当者さま、ベンチャー企業の社長さまなど、およそ50名の方がお集まりくださいました。
■「eiicon」が目指す姿
最初に、株式会社インテリジェンス執行役員(新規事業開発担当)の岩田亮がマイクを握り、会場にお集まりいただいた皆さまにご挨拶。「PERSOL(パーソル)グループとして掲げる「人と組織の成長創造インフラへ」というビジョンに基づき、「eiicon」でも単なるマッチングにとどまらず、企業と働く皆さんの成長に役立てるようなサービスを提供していきたい」と、サービス提供開始にあたっての抱負を語りました。
▲株式会社インテリジェンス執行役員 岩田亮
次に、eiicon ・ファウンダーの中村亜由子が、「eiicon」のサービスについて説明を行いました。「300社以上の企業と話す中で、オープンイノベーションの障壁として多数挙げられたのが「出会えない」という悩みだった。「場」がないことに注目して考えたのが「eiicon」のサービスである」と、開発のきっかけをご紹介。
その上で、「出会えない原因は、「ターゲットが明確になっていないこと」「対外的に発信できるスキームができていないこと」だと感じた。そこで「eiicon」では、ターゲット(協業相手像)を明確にするお手伝い、企業間の直接コミュニケーションを活性化するお手伝いを行うことをミッションとし、「サーチ」「マッチング」の“アシスタント”のような存在となって、企業が“簡単に”“直接”コミュニケーションできる「場」を提供していきたい」と、目指すサービス像を語りました。
▲eiicon ・ファウンダー 中村亜由子
■オープンイノベーションの成功事例に学ぶ
続いて、オープンイノベーションの成功事例を複数お持ちの3社をお招きし、パネルディスカッションを行いました。登壇者はこちら。
●株式会社カブク CBO/事業執行役員 清水篤彦氏
電通グループ、avexグループを経て、マスコミ業界特化型人材派遣会社で役員を務める。エンタメ・コンテンツ領域でのポートフォリオ事業戦略設計、新規事業開発が専門。その後、モノづくり系技術者でもある父親の影響を受け、製造分野へ“原点回帰”。現在はグローバル分散製造プラットフォームを展開する「株式会社カブク」にて事業開発から事業全体の戦略設計・意思決定までを行う。
●スパノバ株式会社 Co-Founder & Director (Community Producer) 栗島祐介氏
大手資産運用会社での株式トレーダーやファンドマネジャーを経て、アジア・ヨーロッパにおいて教育領域特化型のシード投資/インキュベーションを行う株式会社Vilingベンチャーパートーナーズ代表取締役社長に就任。起業家輩出及び起業家育成エコシステム作りに邁進。HardTech領域を主軸に新産業創出を行うスタートアップを生み出すための起業家支援コミュニティ「Supernova(スーパーノヴァ)の企画・運営総括を行う。
●株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFG Digitalアクセラレータ責任者 藤井達人氏
IBMにてメガバンクの基幹系開発、インターネットバンキングのプロジェクト立上げ、金融機関向けコンサルティング業務に従事。その後、Microsoftを経て、三菱UFJフィナンシャル・グループでフィンテック導入のオープンイノベーションを担当。「Fintech Challenge」「MUFG Digitalアクセラレータ」「銀行APIハッカソン」などの設立を主導。メガバンクにおけるイノベーション活動をリードし、フィンテック導入の礎を築いた。
eiicon ・ファウンダーの中村がモデレータを務め、清水氏には、「ベンチャー企業」の視点から、栗島氏には、「起業家支援」の視点から、そして藤井氏には「大手企業」の視点から、それぞれお話しいただきました。
Q:オープンイノベーションを実践してきた中で一番大変だったことを各社の視点で教えてください。
藤井:伝統的な金融機関の風土の中で、「外の視点を取り入れる」という発想を持ってもらう最初の部分が大変だった。時間・スピード・方法の理解を促すのは難しく、「やりたい!と思う人をピンポイントで見つけてくることが重要と感じる。
清水:「デメリット」を「メリット」に変えることが大変であり、重要。ステークホルダーが多い大手企業を相手にする場合、リスクを取ってでもやっていくメリットをいかに上手く説明できるかが鍵になる。
栗島:条件の擦り合わせ。ベンチャー側が、大手企業側から一業者扱いされてしまうことを避けるためにも契約書をしっかり結ぶ。外部のメンターを交えてプログラム設計することも。メンタリングもしっかり行った上で、「共創」という意識につなげていく。
清水:事業をどう継続化し、どう収益化していくかという、「継続性」の見せ方がポイント。そのためにしっかり「仮説設計」を行う。この仮説が合っていないと、大手企業からは相手にされなくなってしまうので、最初にしっかり詰めておくことが大切になる。
Q:大手企業が開催する「アクセラレータ・プログラム」においては何に気をつけるべきでしょうか?
清水:大手企業側には、提供する情報の精度は重要であると言いたい。ベンチャーとしては、コアな技術がどこに眠っているのかを推測しながら情報を見ていくので、規模に加え、内容の精度を重視する。
栗島:プログラムで選定したものの、中の現場に落とし込めず、事業連携できずに悪評が立つ、ということが起こりがち。期待値ギャップを間違わないことが重要。
藤井:金融機関でも、現場から「データは出せない」と反対されることは多い。選定する時点で現場に落とし込んでおくことは必須。
Q:イノベーションを起こすまで(体勢構築後、共に共創する)の過程で、大切なことは何でしょうか?
清水:前述したように、大企業におけるおこりがちな「デメリット」になる部分を一つひとつ確実につぶし、「メリット」の創出の仕方を説明していくこと。一緒にPL(損益計算書)を書きながら伴走していくようなイメージ。
藤井:一つは、事業・サービスの人の気持ちを上手くのせる(盛り上げて)こと。もう一つは、時流に上手く乗せること。
栗島:「熱量がないところに化学反応は起きない」ので、熱量に寄り添うことが大事。そして、その熱量をいかに保つかが大事。
Q:オープンイノベーション自体に関心がない大手企業の経営者には、どんなアプローチができるでしょうか。
藤井:まずは小さくでも良いので、成功事例をつくって共感を広げていくことが大事と感じる。
栗島:弥生株式会社と、名古屋のクラウド請求書管理のスタートアップ「Misoca」のM&Aの例があるが、取りこんで中にしてしまうというのも方法の一つではある。
中村:「オープンイノベーション」は、あくまでもイノベーションの方法論の一つなので、イノベーションの成功のためには、必ずしもオープンでなくてもクローズドでもいいのではないだろうか。柔軟に考えていいと思う。
■直接コミュニケーションをとれる「場」の重要性
「eiicon」が準備していた質問に加え、会場からの質問も多数寄せられ、登壇者、参加者の境なく、まさに会場が一体となっての意見交換ができました。「登壇者と参加者の距離がない、パネルディスカッション」——これはまさに「eiicon」が目指す姿に重なるものであり、サービス提供開始を記念したこのイベントで、そんな雰囲気が自然と出来上がったことに、スタッフ一同、感動を覚えました。
続く懇親会。パネルディスカッションの雰囲気そのままに、会場の至るところで活発な情報交換が行われていました。今回はサービス提供開始を記念した特性ケーキもご用意(もったいなくて食べられない、という声が大きかったのですが)。甘いデザートは、食事を和やかに終え、人のこころを癒やし、コミュニケーションを活発にする重要な役割を担うと言われています。
ベンチャー企業の視点では、協業相手となる大手企業としっかり話し、しっかり伴奏していくことが大切。大手企業の担当者の目線では、社長や経営陣としっかり話し、共創の意味をしっかり納得してもらうことが大切。パネルディスカッションから得た気付きを考えてみても、「コミュニケーション」はオープンイノベーションを成功させる上での重要な鍵になります。
ついに始動した「eiicon」のサービスでも、企業間のコミュニケーションを活性化するお手伝いをすることはミッションの一つ。オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」という「場」の提供で、一つでも多くの、オープンイノベーション成功事例が生まれるよう願っています。