日立造船×ポーラ化成工業 | 環境にやさしく機能に優れた化粧品容器・原料を共同開発
日立造船株式会社と、ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社は、「トチュウエラストマー®」を使った化粧品の容器と原料の共同開発を2020年3月より始める。植物由来の成分を適用することで、環境負荷の低い製品の実用化を目指す。
杜仲茶の木から抽出する「トチュウエラストマー®」
「トチュウエラストマー®」は、落葉樹のトチュウ(杜仲茶の木)から抽出・精製した100%植物由来のバイオポリマー(※1)で、「柔軟性に優れ衝撃に強い」「水をはじく」といった性質をもつ。日立造船では、新しい機能性材料としてさまざまな用途への展開を図っている。
(※1)生物が作る、プラスチックや樹脂に類似の化合物
国内で初めて化粧品の容器・原料に同じ素材を適用
持続的な社会の実現と、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、CO2排出や廃プラスチックの削減など環境課題の解決を図る取り組みが求められている。日立造船とポーラ化成工業は、化粧品分野においても環境にやさしい容器と原料の開発を進めるべく、植物由来の「トチュウエラストマー®」の特長を生かして2つの開発テーマに取り組む。
①環境に優しい自然に還る容器としての活用
②高い肌実感機能をもつ化粧品原料としての活用
環境にやさしい植物由来成分を、化粧品容器と原料の両方へ活用する共同開発は国内で初めてという。
容器としての「耐衝撃性」、化粧品原料としての「美容効果」
植物由来の生分解性(※2)プラスチックは、衝撃に弱いことが課題。しかし、植物由来の生分解性プラスチックであるポリ乳酸(PLA)に「トチュウエラストマー®」を5%の割合で混ぜると、耐衝撃性が約2.4倍にまで高まる。また「トチュウエラストマー®」の遮水機能は高密度ポリエチレンに匹敵することもわかっている。これらの特長を容器に活用することで、強度に優れた生分解性容器の実現が期待できるという。
また「トチュウエラストマー®」は柔軟性にも優れることから、従来の原料に比べ、美容効果としてしなやかでハリのある肌実感の付与が期待される。
(※2)自然界で微生物などの作用により最終的に水と二酸化炭素にまで分解する性質
ポーラ・オルビスグループでは、ユーザーのもとでの廃棄物を減らすために、1985年よりリフィル容器や詰め替え用化粧品を販売するなど、早期より環境に対する対応を行ってきた。
この共同開発を通じ、植物由来の素材の適用を拡大することで、ユーザーの求める化粧品機能を実現するとともに、環境負荷の低減に貢献し、持続可能な社会の実現を目指すという。
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)