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サブスクリプションと定額サービスはどう違う?ビジネスパーソンなら知っておきたい基礎知識

サブスクリプションと定額サービスはどう違う?ビジネスパーソンなら知っておきたい基礎知識

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様々な業界で注目を集めるビジネスモデル「サブスクリプション」。代表的なサービスの一つである動画配信大手のネットフリックスは、世界の有料会員数が3月末時点までの3ヶ月で1577万人増え、1億8236万人に達したというニュースは記憶に新しいところです。

単に、サブスクリプションを「定額サービス」と理解している方もいますが、ビジネスパーソンとしては不十分と言えるでしょう。実際に安易に定額サービスを作ったものの、すぐに撤退した事業も少なくありません。今回はサブスクリプションが定額サービスとどう違うのか、どんなメリットや注意点があるのか紹介していきます。

社会のニーズに対応した「サブスクリプション」

サブスクリプションは、料金を払うことで、一定期間サービスを受けられるビジネスモデルを指します。本来は「予約購読」や「定期購読」という意味でしたが、近年は「定額サービス」として広く知られるようになりました。音楽や動画サービスの他、ファッションや車、化粧品、家具など様々な商品のサブスクリプションサービスが登場しています。

近年サブスクリプションが注目される背景には、人々の価値観の変化があります。従来は商品を買って所有することに価値を感じていましたが、今は「必要な時に必要なだけの体験」が求められるようになりました。商品を所有せずとも「利用」できるサブスクリプションは、社会のニーズの変化にマッチしたビジネスモデルと言えるでしょう。

矢野経済研究所の市場動向調査(2020年4月発表)によると、2019年度には6,835億2,900万円の市場規模(国内)となっており、5年後の2024年には1兆2,117億円にまで成長すると予測され、ますます注目を集めるサービス領域です。

【サブスクリプションサービスの国内市場規模推移】

※出典:プレスリリース「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2020年)」/矢野経済研究所

サブスクリプションと定額制サービスの違いとは?

サブスクリプションは、日本ではよく「定額サービス」と訳されていますが、定額制はサブスクリプションの一側面でしかありません。日本にも昔から新聞や牛乳配達など、定額制のサービスは数多くありましたが、それらも全てサブスクリプションと捉えるのは違和感があります。ユーザーからすれば、定額を払ってサービスを受けることに変わりませんが、ビジネスに関わる人であればサブスクリプションの本質についても理解しましょう。

従来の定額サービスと、サブスクリプションの違いを理解するのに重要なのが「顧客満足度」です。サブスクリプションの特徴を表す言葉に「永遠のβ版」という言葉があります。これはサービスに完成形がなく、顧客満足度を上げるために常にアップデートされていくことを意味します。ユーザーがちゃんとサービスを使っているか、どのように使っているかデータをとり、サービスの改善に活かしていくのです。

一方で従来の定額サービスはどうでしょうか。例えば新聞が毎日届いたとしても、新聞社は本当にユーザーが新聞を読んでいるか、どのように読んでいるかまではなかなか把握できません。従来の定額サービスが企業が作った商品を売っていたのに対し、サブスクリプションは顧客が求めるサービスに磨き上げていくビジネスだと言えるでしょう。

 

サブスクリプションを取り入れるメリット

現在、大企業も含めて多くの企業がサブスクリプションモデルを取り入れています。それは、社会の流れに対応する以外にも、様々なメリットがあるからです。どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

●売上の試算がしやすい

サブスクリプションは買い切り型のビジネスに比べて、将来の売上が試算しやすくなります。試算の精度が高くなれば、より適切な予算を組むことができ、効率的に事業投資が可能です。在庫のあるビジネスであっても、売上の試算ができていれば適切な仕入れができ、大量の在庫を抱えたり、逆に在庫が不足してビジネスチャンスを逃すことがありません。

●サービスの改善がしやすい

買い切り型のビジネスですと、商品を購入した後の顧客の動向を把握するのは容易ではありません。サブスクリプションなら、顧客がどのようにサービスを利用しているかデータがとれるため、より適切なサービス改善が行えます。サービスの質を上げることで解約を減らし、新規顧客獲得することがサブスクリプションの肝と言えるでしょう。

●サービス利用のハードルを低く設定できる

サブスクリプションを活用すれば、高額な商品でも安価で提供できるため、ターゲット層を広げられます。例えば数十万円もするブランドバッグは、これまで経済的に余裕のある方しか手にすることができませんでした。しかし、ブランドバッグのサブスクリプションなら月に数千円の料金で数十万円もするバッグを持つことができます。これまではブランドバッグに手の届かなかった方たちもターゲットになるため、新しい商圏を作り出すことが可能です。

サブスクリプションの注意点

企業に様々なメリットをもたらすサブスクリプションですが、注意すべき点がいくつもあります。

●収益化までに時間がかかる

サブスクリプションを適切に取り入れるとなると、多額の投資が必要になります。それに加えて一人あたりの月額は低くなるため、赤字の期間が長くなります。サービスが成長すればコストは減り、売上も増えるため大きなチャンスはあるものの、それまで持ち超えるまでの余力が必要です。この収益とコストのグラフが魚の形状に見えることから「フィッシュモデル」と呼ばれているため、サブスクリプションを取り入れる場合は頭に入れておきましょう。

●カスタマーサポートへの投資が大きくなる

商品を売るまでが大事な買い切り型ビジネスに比べて、サブスクリプションは契約した後の対応が重要です。ただユーザーのクレームや問い合わせに対応するだけでなく、積極的にユーザーにコンタクトして潜在ニーズを掘り下げなければいけません。カスタマーサポートを適切に運営にするには大きな投資が必要になるため、これまでのビジネスではおざなりにされるケースも多くありました。しかし、サブスクリプションを成功させるにはカスタマーサポートへの投資は必要不可欠だと認識しましょう。

●商品は同じでも、全く違うビジネスだと認識を変える

大企業の中には、既存の商品をそのままサブスクリプションに置き換えるケースも多く見られます。例えば車メーカーや化粧品メーカーのサブスクリプションサービスです。いずれもユーザーに車や化粧品を使ってもらうことに変わりありませんが、全く違うビジネスであると意識改革をしなければいけません。「課金形態を変えるだけ」と思っている企業は、もれなく市場から撤退することになるでしょう。サブスクリプションに特化したSaaSサービスが市場を築いていることが、サブスクリプションビジネスの難しさを物語っています。

サブスクリプションを支えるシステム

サブスクリプションを取り入れるには、商品管理から顧客管理の仕方、物流システムまで変えなければいけません。それらの改革をサポートしてくれるサポートもあるので、賢く利用しましょう。

●Zuora(ズオラ) 

Zuoraは世界10カ国で展開され、1,000社を超える企業で導入されているサブスクリプション特化型のSaaSアプリケーション。コマース、ビリング、ファイナンスと3つの領域を中心に構成され、サブスクリプションビジネスの収益向上と業務最適化を支援してくれます。サブスクリプションに合わせた契約管理やレイティング可能で、基幹システムの他にアドオンで機能を追加することも可能です。

https://jp.zuora.com/

 

●サブスクストア 

サブスクリプションストアは、ECシステムで実績のあるテモナが提供するサブスクリプション特化型のクラウドシステム。商品管理から顧客管理、受注管理とサブスクリプションに必要な業務を包括的に管理できます。サブスクリプションビジネスの支援も手厚く、ノウハウの紹介やセミナーも開催しているので、初心者にも優しいサービスです。

 https://subscription-store.com/

 

●AXLGEAR(アクセルギア)

AXLGEARは販売管理システムの開発を行うAXLBIT(アクセルビット)が提供する、サブスクリプションに特化したクラウド型販売システム。新規顧客獲得からアップセル・クロスセル、契約継続まで幅広くサポートしてくれます。決済サービスの「クロネコ掛け払い」とても提携しており、決済周りの業務も大幅に省略することができます。

 https://axlgear.net/

編集後記

サブスクリプションは単なるビジネストレンドではなく、私達の価値観の変化、社会の変化にマッチして生まれたビジネスモデルです。これからビジネスの立ち上げを考えている方は、ビジネスの構造だけでなく、背景にある市場のニーズの変化も理解しましょう。これから日本でも、サブスクリプションが社会をどのように変えていくのか楽しみです。

(eiicon編集部 鈴木光平)

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