メトセラ、心不全向け製品の臨床試験開始に向けて総額4.3億円の資金調達を完了
線維芽細胞を用いた細胞医薬品の開発に取り組む株式会社メトセラは、日本ライフライン株式会社、Sony Innovation Fund、つくばエクシードファンドの3社から総額4.3億円の第三者割当増資を2020年3月に完了した。また、2020年4月1日付けにて、日本ライフライン株式会社取締役の山田健二氏が同社の社外取締役に就任した。
資金調達の目的・背景
メトセラは2016年の設立以来、組織の修復を促す特別な線維芽細胞を用いた創薬に取り組んでいるベンチャー企業。治療の選択肢の限られる慢性臓器不全の患者向けに、新たな治療手段を提供することをミッションとして、基礎研究と製品の開発に取り組んできた。
メトセラは基礎研究および非臨床試験を通じて、この線維芽細胞が、心筋細胞の増殖や心臓内のリンパ管新生によって、ダメージを受けた心臓組織を修復していることを明らかにした。この細胞を患者由来の組織から製造することで、高い免疫反応が生じることで知られる心臓において、高額な免疫抑制剤を用いずとも高い治療効果を得ることを目指している。また、他の多能性幹細胞を用いた製品とは異なり、同社の製品は製造工程において幹細胞や遺伝子組み替えを用いないため、未分化細胞の混入によるガン化や意図せぬ遺伝子変異が懸念されないという。
こうした高い技術的優位性を活かし、メトセラは、同社の線維芽細胞と専用の細胞投与システムを組み合わせた再生医療製品「MTC001」の事業化に向けて、日本ライフライン株式会社および国立大学法人筑波大学と心臓線維芽細胞の心筋内投与用カテーテルの共同研究を2018年より実施している。2020年3月には臨床試験用の細胞製造拠点が竣工し、製品の製造体制が整うなど、2020年度内の臨床試験開始に向け、順調に開発が進行している。
今回の資金調達によって、(1)製造管理・品質管理体制の強化、(2)次世代プロダクトの研究開発強化、(3)臨床試験実施体制の整備を実施し、これまでの研究開発を主軸とした事業体制から、信頼される製品製造を実現する事業体制への大幅な体制強化を目指すという。
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