1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. スマートスピーカーの次の市場を切り拓く!「音声認識×AI」の基礎知識と共創事例
スマートスピーカーの次の市場を切り拓く!「音声認識×AI」の基礎知識と共創事例

スマートスピーカーの次の市場を切り拓く!「音声認識×AI」の基礎知識と共創事例

  • 1240
  • 1239
2人がチェック!

多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。eiicon labの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

第二弾の今回は【AI×音声認識】の分野について、市場の状況や共創の実績などを深堀りしていきます。これまで人間の耳と脳で認識されてきた音声にAIのチカラが加わった時、どのようなイノベーションが起こるのでしょうか。

音声認識はAI主要6市場のひとつで、2023年度に1000億円超の規模へ

音声認識AIとは言葉のとおりAIによって音声を認識する技術のことで、多くのAIで行われている処理と同じように、入力されたデータから特徴量を抽出して、これまで学習したパターンと照合して整合率を計算します。たくさんの音響モデルを学習することで、精度を上昇させていくのが基本です。

2019年12月に調査会社のアイ・ティ・アールが公開したレポート「ITR Market View:AI市場2019」では、AI主要6市場の市場規模を予測しています。音声認識AIも主要6市場の中に含まれており、AIシーンではメジャーであることがわかります。ちなみにアイ・ティ・アールが定義したAI主要6市場は「画像認識、音声認識、音声合成、言語解析、検索・探索、翻訳」です。

<AI主要6市場規模推移および予測(2017~2023年度)>

音声認識AIに関する別のレポートを見てみましょう。2019年6月にMDB Digital Searchが公開した「音声認識システム市場 2023年に1010億円規模に」というレポートでは、タイトルの通り音声認識システムが1000億円を超えると予測しています。

<音声認識システム市場規模・予測>


出典:音声認識システム市場調査(MDB Digital Search/2019年6月発表)

「音声認識AI」ではなく「音声認識システム」の市場調査ですが、レポートでは音声認識システムのことを「企業向けの人間の発話音声などをテキスト化するシステム」と定義しており、AIの文脈も含んでいることが明記されています。

これらの調査から、音声認識AI市場は数年で数倍の市場規模に成長していくポテンシャルがあることがわかります。

音声認識AIの共創事例

音声認識AIの領域では、すでに数々の共創が実現しています。事例を見ていきましょう。

【Hmcomm×DefinedCrowd】音声と感情のデータアノテーション領域で戦略的パートナーシップを締結

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)発のベンチャーとして知られるAIベンチャーのHmcommは2019年5月、機械学習ベンチャーのDefinedCrowd Japanと、AIによる音声と感情のデータアノテーション領域において、戦略的パートナーシップを締結すると発表しました。

両社の強みを活かすことで、「AI×音」の利活用を最大化する狙いです。なお、両社ともにソニーグループから出資を受けているという点でも共通しています。

関連記事:Hmcomm×DefinedCrowd|AIによる音声と感情のデータアノテーション領域で、戦略的パートナーシップを締結

【Hmcomm×三菱ケミカル×宮崎大学】異音検知技術による「豚の音声検知システム」の開発

続いても産総研発のAIベンチャーHmcommの共創事例です。Hmcommと三菱ケミカルホールディングス、そして宮崎大学は2019年9月、豚の音声を収集し健康状態や母豚の発情兆候、哺乳回数を検知するシステムの開発を目指して、共同研究を開始することを発表しました。

畜産の熟練者が豚の動向を見て体調を見極めることができますが、そのスキルを音声認識AIで再現し、畜産業の人手不足を補うことを目指します。

関連記事:Hmcomm×三菱ケミカル×宮崎大学|共同で異音検知技術による「豚の音声検知システム」の開発を目指す

【ドコモ×Otter.ai×みらい翻訳】英会話をリアルタイムに書き起こす「Otter」の日本展開

NTTドコモは2020年1月、グローバル化が進む日本のビジネスパーソンの生産性向上のため、英語音声を自動で文字起こしする音声認識AIサービス「Otter」を提供するAISense, Inc.と、日本での事業展開に向けて協業を開始しました。

「Otter」は、世界中で100万人以上が利用している、スマートフォンで録音した英語音声をリアルタイムにテキスト化するサービスで、ドコモは「Otter」の普及に向けて日本市場での需要や有用性などについて調査を開始し、2020年度からは国内企業への導入支援に取り組む予定です。

関連記事:ドコモ×Otter.ai×みらい翻訳 | 英会話をリアルタイムに書き起こすサービスの日本展開に向けた協業を開始

【Meetscom×pickupon】通話投稿データによる音声マーケティングデータ提供サービスの開発

音声系コミュニケーションアプリ「KoeTomo」を展開するMeetscomと、通話データAI分析サービスのpickuponは2020年4月、KoeTomoの通話投稿データの収集と分析による、音声マーケティングデータ提供サービスの開発で協業すると発表しました。

「KoeTomo」ユーザー97万人の通話投稿データをAI解析することにより、企業によるマーケティングから行政による世論調査まで、多種多様な情報提供を可能にするサービス開発とビジネスモデル構築を行うという計画です。

関連記事:【Meetscom×pickupon】 通話投稿データの収集と分析による音声マーケティングデータ提供サービスの開発で協業

【編集後記】スマートスピーカーの次のステージへ

音声認識AIと言われて真っ先に思いつくのはスマートスピーカーだと思います。ただ、今回ピックアップして取り上げた注目の共創事例はスマートスピーカーの次のステージを見据えたプロジェクトがほとんどです。

スマートスピーカーは今後も後発プロダクトが出るでしょうが、勝負がほぼ決しているマーケットとも言えます。オープンイノベーションはその名の通りイノベーションを起こすものですから、音声認識AIは新たな領域でイノベーションを起こして新たな市場を開拓する段階に入ったのでしょう。

(eiicon編集部)

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント2件