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【イベントレポート】Plug and Play Japan/Creww共催「スタートアップの成長に寄与するアクセラレーター、 各社の違いとは」

【イベントレポート】Plug and Play Japan/Creww共催「スタートアップの成長に寄与するアクセラレーター、 各社の違いとは」

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インキュベーター、VC、アクセラレータ、スタートアップスタジオ...日本におけるスタートアップエコシステムが豊かになるにつれ、支援組織の層も非常に厚くなり、日本のスタートアップ界隈も徐々に盛り上がりを見せている。そんな中、今回8月9日(木)にPlug and Play JapanとCreww社共同で開かれた「スタートアップの成長に寄与するアクセラレーター、各社の違いとは」。

ずばりタイトル通り、「アクセラレータ」を比較するイベントが開催された。

当日のアジェンダは以下の通り。

19:10 - 19:25 スタートアップを取り巻く環境の変化(THE BRIDGE 池田将)

19:25 - 20:25 各アクセラレータからのプログラム紹介とパネルディスカッション(下記登壇企業8社)

20:25 - 20:30 休憩

20:30 - 20:45 Densoに聞く、Plug and Play JapanとCrewwの違い(Denso 井上明、Plug and Play Japan、Creww)

20:45 - 20:50 閉会のご挨拶

20:50 - 21:30 懇親会

[登壇企業]

Plug and Play Japan(http://japan.plugandplaytechcenter.com/

Creww(https://creww.me/ja

AI Accelerator (Dip)(http://ainow.ai/accelerator/

0→1booster(https://01booster.com/

Samurai Incubate(https://www.samurai-incubate.asia/)

500 Startups Japan(http://jp.500kobe.com/)

ASAC(http://acceleration.tokyo.jp/)

グロービス(https://www.globis.co.jp/)

特に今回eiiconでは登壇企業8社のピッチの様子をレポートにまとめた。

スタートアップを取り巻く環境の変化

▲池田将氏 / Masaru Ikeda THE BRIDGE 共同創業者 兼 ブロガー

1990年代前半からシリコンバレーやアジアのインターネットビジネスの調査を開始。プログラマやエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、複数のシステム開発会社やコンサルティング会社を設立。これまでに、新聞や雑誌にスタートアップやインターネット・サービスに関するコラムを多数連載している。 2010年6月から THE BRIDGE を運営(当初は Startup Dating)。日本内外のスタートアップ・シーンの取材、THE BRIDGE 英語版での情報発信に注力。スタートアップ関連組織の事業運営を支援するほか、世界中のスタートアップ・カンファレンスで積極的に登壇し、日本やアジアの現状を世界に伝えている。

まずはじめに、スタートアップの情報発信を2010年から続けるメディア「THE BRIDGE」を運営する池田氏から、日本のスタートアップを取り巻く環境の変遷について概観の話があった。

2010年ごろ、Y Combinatorが日本でも非常に騒がれ、多くの日本版Y Comが生まれていたころと比較すると、「スタートアップ・アクセラレーション」という側面から、「コーポレート・アクセラレーター」にシフトしてきているのが昨今の流れである。

「オープンイノベーション」実践の手がかりとして、「コーポレート・アクセラレーター」を実施する企業が増えてきていると話す。

「スタートアップスタジオ」の側面を持つプログラムが増加しているのも現在の傾向の一つ。

資金面の援助だけではなく、足りない部分をサポートする機能を持つのが「スタートアップスタジオ」の特徴であり、スタートアップサイドに何か尖ったパーソナリティや技術力があれば、足りない部分があってもその部分を補い、支援するようなプログラムが増えてきているので、起業しやすい環境が整ってきているとも言える。

また、PnPによる支援に見られるように、国を超えたオープンイノベーションも増えてきていると話した。

 

各アクセラレータからのエレベーターピッチ

【1】Plug and Play Japan株式会社

▲矢澤麻里子氏 / Mariko Yazawa 

Plug and Play Japan株式会社 Chief Operating Officer 

1983年生まれ神奈川県藤沢市出身。 大学を卒業後、BI・ERPソフトウェアのベンダにてコンサルタント及びエンジニアとして従事。日本国内外企業の信用調査・リスクマネジメント・与信管理モデルの構築などに携わった後、日米のベンチャーキャピタルにて投資先の発掘・選定、メンタリング・支援先バリューアップ・イグジットを経験した後、2017年9月Plug and Play JapanにCOOとして参画。ニューヨーク州立大学犯罪司法学士。

Plug and Playはアメリカのシリコンバレーで2006年に立ち上がったベンチャーキャピタル。3つの機能として、ベンチャーキャピタル/アクセラレーター/イノベーション支援機関を保有している。

一つ目のベンチャーキャピタルという機能においては、大企業とともにスタートアップを支援するために、スピード早く実りにつなげるため、レベルの高いスタートアップを採択している。また、二つ目のアクセラレーターに関しては、大企業とともにアクセラレータープログラムとして、スタートアップをサポート。大企業の次の事業づくりの支援をしている。

特徴は二つ。一つ目は、業界テーマ別のプログラムでN対N型、複数 対 複数のプログラムを作っているという点だ。さらに、特徴の二つ目としては、インバウンド・アウトバウンド双方の支援をして、日本、海外双方のスタートアップを支援している(11か国26拠点で展開中)点が挙げられる。

【2】Creww株式会社

▲小田健博氏 / Takehiro Oda

Creww株式会社 Startup Community Team Community Manager 

1980年 9月4日生まれ 早稲田大学第二文学部卒業後、Web制作会社、映画会社、広告代理店にて一貫して企画営業・プロデューサーとしてコンテンツの企画制作に従事。2011年から2014年は中国にて日系企業の中国国内向け広告の企画・営業を担当。帰国して広告代理店に戻るが、2016年Crewwのビジョンに共感し入社。現在、スタートアップ企業と大手企業の新規事業創出を支援するオープンイノベーションプログラム「crewwコラボ」のディレクター、Crewwの運営するコミュニティスペース「docks」のコミュニティマネージャーとして日々スタートアップの支援を行う。

Creww株式会社はスタートアップを支援する会社。スタートアップコミュニティを持っていることが大きな特徴だ。現在は3700社を超えるコミュニティ数を誇っている。そして同社は、「crewwコラボ」というアクセラレータープログラムを展開している。

大手企業とスタートアップを組み合わせて自動走行させていく上で、スタートアップの支援と事業会社の新規事業支援を行っている。半年間のプログラムで、前半3か月がマッチング期間、後半3か月でマッチング期間で出会った企業との事業化支援を進めていく。

これまで110社の企業に対して支援を実施してきた。4400件以上の応募から、合計850件強のプレゼンに進んでおり、事業化に成功したのは450件。大体、10件の出会いに1件は事業が生まれている。

【3】Samurai Incubate Inc.

▲長野英章氏 / Hideaki Nagano

Samurai Incubate Inc.(サムライインキュベート)共同経営パートナー Chief Strategy Officer 

グルーポン・ジャパンやRocket InternetのWimduにてチーム立ち上げに従事した後、ダイマーズラボを創業。複数サービスの立ち上げや資金調達を実施。2015年オプトとの合弁会社となるオプトインキュベートを設立し、代表取締役COO就任。エキスパートチームをゼロから構築し、複数事業の立ち上げ、大企業との共同事業、新規事業立ち上げのコンサルプロジェクトを推進。2017年より株式会社サムライインキュベートへ参画し、共同経営パートナー Chief Strategy Officerに就任。大企業のオープンイノベーション支援、新規事業の立ち上げ伴走支援、キャピタリストとして投資業務等に従事している。

Samurai Incubate Inc.はシードフェーズのスタートアップに特化したベンチャーキャピタル。現在は日本・イスラエル・アフリカに投資をしている。そして近年は、オープンイノベーション支援にも力を入れている。

アクセラレーションプログラムの中でもこだわっている点の一つ目は、テーマ設定。140社以上への投資を通じて培った経験によるリアルなテーマ設定が可能だ。たとえば、eiiconのような新しい交流の場を創りたいのか、AWSのような新しい収益の柱を創りたいのかなどすり合わせながらしっかりテーマを設定していく。

もう一つのこだわりが、事業部の巻き込みだ。アセットがたくさんあるがアクセシブルでない状況を、事業部を巻き込みながらアクセシブル化していく。

同社は投資事業がメインのため、スタートアップのソーシングもしっかりでき、さらにインキュベーション自体も蓄積したノウハウを体系化しているため、経験値に基づいた支援が可能となる。

【4】株式会社ゼロワンブースター

▲合田ジョージ / George Goda

株式会社ゼロワンブースター共同代表 取締役

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計、国際アライアンスや海外製造によるデザイン家電の商品企画。村田製作所にて、北米およびMotorolaの通信デバイス技術営業後、通信分野の全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社のマーケティングや海外展開を指揮、KDDIグループによる買収後には、M&Aの調整、グループ子会社の海外戦略部部長。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレーターをアジアで展開中。

コーポレーターアクセラレーターの支援実績としては27程度。日本国内での連携も進めているものの、現在力を入れているのは海外連携。アジアとアライアンスを組んでどう横展開をしていくのか、なども支援している。さらに、中小企業系の支援も実施中。ゼロワンブースターとして事業も拡大フェーズにあり、人材も積極的に募集中だ。

【5】ディップ株式会社 次世代事業準備室/dip AI.Lab

▲進藤圭氏 / Kei Shintou

ディップ株式会社 次世代事業準備室/dip AI.Lab室長

株式会社GAUSS取締役、株式会社JollyGood取締役

早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに新卒入社。営業職、ディレクター職を経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」事業化など、40件以上のサービス企画に参加。 新規事業責任者、アニメの舞台めぐり「聖地巡礼マップ(https://seichimap.jp/)」、人工知能ニュースの「AINOW(http://ainow.ai/)」、スタートアップニュースの「StartUpTimes(http://startuptimes.jp/)」等の変わり種メディアチームの責任者。 投資担当を兼ね「AI.Accelarator」「HR-HackFund」責任者、「ASAC」青山スタートアップアクセラメンター、「OIH」大阪イノベーションハブメンター、「kansAI0.6」関西のAIアクセラレーターメンターなど。TBSラジオ「好奇心家族」ニュース解説者。 いろいろとっ散らかっているものの特命係長的ライフを満喫中。

ディップ社内でAIアクセラレーターを展開。多くのAI系スタートアップのインキュベーション支援を展開し、支援している多くの企業が資金調達や買収などの成果に結びついている。

プログラムの特徴としてズバリ「何でもやる」というのが特徴。求人の会社であるディップとしては人口が減っている日本の現状を踏まえ、社会がAI化をしていくべきだと考えている。

【6】500 Startups Japan

▲澤山陽平 / Yohei Sawayama

500 Startups Japan マネージングパートナー

東京大学大学院 工学系研究科 原子力国際専攻修了。修士(工学) 。JP モルガンの投資銀行部門でTMT セクターの資金調達やM&Aアドバイザリー業務に携わった後、野村證券の未上場企業調査部門である野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(NR&A)にて IT セクターの未上場企業の調査/評価/支援業務に従事。2015年、$35M(約38億円)規模のファンドである500 Startups Japanのマネージングパートナーに就任。主な投資先は、SmartHR、Infostellar等。

500 Startups Japanは世界60か国、2000社以上に投資をしているグローバルなファンド。今まで、7社のユニコーン、40社のケンタウロスを排出してきている。

500 Startups のアクセラレータープログラムの一番大きな特徴は、シリコンバレーのメンターによる指導が受けられる点だ。毎週3人程度、様々な分野の専門家を招聘し、アドバイスを受けることもできる。

もう一つの特徴は、行政によって支えられており、スポンサーが市・行政であるという点だ。(スポンサードサイドのメリットは、シリコンバレーの支援・メンタリングを間近で見れるという点である)

【7】株式会社グロービス

▲大牧信介氏 / Shinsuke Omaki

株式会社グロービス  グロービス・テクノベート・ラボ  ディレクター

立命館大学経済学部卒業。 東京理科大学大学院イノベーション研究科修了(技術経営修士)。 大学卒業後、大手リース会社にて法人営業、企画部をへて、2001年よりグロービス。企業研修部門にて、大手企業の経営人材育成、事業課題解決、新規事業開発、製品マーケティング戦略などの支援等、数多くのプログラムを実施。現在、グロービス・テクノベート・ラボのリーダーとして、企業のオープンイノベーション、アクセラレータープログラムを企画・推進、スタートアップ企業の支援などを行っている。

グロービスの事業としてはベンチャーキャピタルや、教育(MBA大学院)、研修など多岐にわたる。MBA大学院からは今までに3000人の卒業生を輩出していきてる。昨年2017年より昨年Crewwと連携し、アクセラレータープログラムを開始している。グロービスの知見を活かして、事業策定の分野から支援を始めている。

【8】ASAC

▲會田幸男氏 / Yukio Aida

ASAC プロジェクトマネージャー兼インキュベーションマネージャー 

大手信託銀行を経てデロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社にてベンチャー企業の事業支援に注力。信託銀行では個人向け資産管理業務、新制度融資の開発・営業業務、ベンチャー企業のIPO支援に従事。MBA(経営学修士)取得後、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社ベンチャー支援事業部にて、ベンチャー企業の顧客開発、事業提携、PR支援、資金調達支援等を行う。 担当インダストリーは物流で、支援ベンチャーは物流をはじめ、幅広い領域にわたる。現在、ASACのプロジェクトマネージャー兼インキュベーションマネージャーを務める。

ASACは東京都が主体となるアクセラレーションプログラム。日本のスタートアップ3500社を支援しているデロイト トーマツ ベンチャーサポートが運営している。東京から世界に残るリーディングカンパニーを輩出することを目的に、資金調達、大企業との提携等にコミットし、成長を遂げてきている。

特徴の一つは、メンタリング。週次・月次でメンタリングサポート。メディアや、VCからのメンタリングも実施。コミュニティ形成にも重きをおいており、ランチMTG等の横のつながりをつくるようなイベントも展開している。また、約90名のサポーターコミュニティで支援をしていることも特徴だ。コワーキングスペースも無償で展開。8月22日から新たなプログラム募集も開始している。

8社に基づくパネルディスカッションを展開

その後、それぞれの支援特徴をテーマにパネルディスカッションが開催された。グローバルorローカル、1度のアクセラ期間で何社サポートするのが平均なのか、スタートアップ側・大企業側どちらを向いているか等活発な議論がなされた。

編集後記

パネルディスカッション内において、2012年から支援を続けているCreww社から、「ここ2年ほどで急速に市場の理解が深まっている印象が強い。”アクセラレーター”というワードの説明が必要なフェーズは過ぎた」という話があった。

8社が登壇し、違いを話すイベントが開催されるというのも2年前には考えられない光景だったのではないだろうか。

プレーヤーが揃ってきたいまこそ、単なる流行ではなく、しっかり自社とあったプログラムを選択していく時期と言える。「オープンイノベーション」実践の手段として、「アクセラレータープログラム」を有効活用してもらいたい。

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