「オープンイノベーション業者」カオスマップ(2018年度版)
大手企業から中小企業、スタートアップまで、多くの企業が注目している「オープンイノベーション」。さまざまなビジネスシーンで目にすることの多くなったこのトレンドワードですが、「取り組んでみたいものの、何から手をつけてよいか分からない」という声も聞きます。
そうした声に応じるように、オープンイノベーションの支援ビジネスを手がける企業も増えてきました。オープンイノベーションの手法の一つである”アクセラレータープログラム”の実施に強みを持った企業や、技術マッチングに強みを持った企業など、その形態や強みは多種多様です。
今回は、オープンイノベーション支援企業を7つの領域に区分けし、合計22社を紹介します。
アクセラレータプログラム支援業者
●Creww株式会社 https://creww.me/ja
国内最大級のスタートアップコミュニティを保有。2017年12月時点で、約3,200社のスタートアップ企業が登録。スタートアップ企業と大手企業による新規事業創出のためのオープンイノベーションプログラムである「crewwコラボ」を展開している。
大手企業とスタートアップを組み合わせて自動走行させていく上で、スタートアップの支援と事業会社の新規事業支援を行っている。半年間のプログラムで、前半3か月がマッチング期間、後半3か月でマッチング期間で出会った企業との事業化支援を進めていく。
既に約400件にものぼるスタートアップ企業と大手企業の協業が生まれている。また、2017年にはこれまで約5年間培ってきたスタートアップ企業のコミュニティ運営で培ったノウハウをベースに”コワーキング事業”に新規参入し、リアルに体現できる場としてオープンイノベーションコミュニティ「docks」をオープンさせる。第一号店を神谷町・城山トラストタワーに開設。
※取材記事:【Creww・水野智之】〜オープンイノベーションは「弱みを補う」ものではなく、「強みと強みの掛け算」https://eiicon.net/articles/314
●株式会社ゼロワンブースター https://01booster.co.jp/
大手企業とベンチャー企業が足りないリソースを相互に補完し合い、イノベーションを共創し、事業の成長を加速するオープンイノベーションプログラム「コーポレートアクセラレーター」を展開。大企業とベンチャー企業両方の経験を持つ同社メンバーが双方をコーディネートし、共創活動を現実のオープンイノベーションにつなげている。三越伊勢丹、東芝テック、KIRINなどから愛知、宇都宮など地方自治体までアクセラレーターの支援事例多数。
コーポレーターアクセラレーターの支援実績としては27程度。日本国内での連携も進めているものの、現在力を入れているのは海外連携。アジアとアライアンスを組んでどう横展開をしていくのか、なども支援している。さらに、中小企業系の支援も実施中。ゼロワンブースターとして事業も拡大フェーズにあり、人材も積極的に募集中だ。
※取材記事:【01Booster代表・鈴木氏】「日本社会全体でイノベーションを創出していくために」https://eiicon.net/articles/261
ベンチャーキャピタル(VC)
●Plug and Play Japan株式会社 http://japan.plugandplaytechcenter.com/
世界最大のアクセラレーター/VCであるPlug and Playの日本支社であるPlug and Play Japan。同社は世界中のスタートアップ・エコシステムとの強い繋がりを持っている。Plug and Play Japanはそれを活用して、インバウンド・アウトバウンドでスタートアップ支援をすることにより、日本のエコシステムのグローバル化に貢献している。
大企業とともにアクセラレータープログラムとして、スタートアップをサポート。大企業の次の事業づくりの支援をしている。特徴は二つ。一つ目は、業界テーマ別のプログラムでN対N型、複数 対 複数のプログラムを作っているという点だ。さらに、特徴の二つ目としては、インバウンド・アウトバウンド双方の支援をして、日本、海外双方のスタートアップを支援している点が挙げられる(11か国26拠点で展開中)。
※取材記事:【Plug and Play・矢澤麻里子氏】 シリコンバレーを代表するアクセラレータが、日本上陸!大手7社と共に始動する、アクセラレータプログラム「Batch0」とは?https://eiicon.net/articles/320
●500 Startups Japan https://500startups.jp/
シリコンバレーを拠点に世界60カ国2000社以上に投資する、シードベンチャーキャピタル、500 Startups。今まで、7社のユニコーン、40社のケンタウロスを輩出してきている。その日本支社として2016年に設立された500 Startups Japanは、日本国内のシードステージのスタートアップへ投資を行なっている。スタートアップへの資金供給に加え、シリコンバレーのベストプラクティス、例えば、資金調達やEXITといった複雑な課題を解決するために、シリコンバレーで標準的に用いられている投資契約書を「J-KISS」という名前で無償公開するなど、日本のスタートアップエコシステムに貢献できるよう努めている。
500 Startups が展開するアクセラレータープログラムの一番大きな特徴は、シリコンバレーのメンターによる指導が受けられる点だ。毎週3人程度、様々な分野の専門家を招聘し、アドバイスを受けることもできる。
もう一つの特徴は、行政によって支えられており、スポンサーが市・行政であるという点だ。(スポンサードサイドのメリットは、シリコンバレーの支援・メンタリングを間近で見れるという点である)
※取材記事:【インタビュー/500 Startups Japan・澤山氏】投資が成功する可能性は5%?オープンイノベーションを目指すに当たり、今知るべきこと、取るべき戦略とは。https://eiicon.net/articles/171
●株式会社サムライインキュベート https://www.samurai-incubate.asia/
「できるできないでなく、やるかやらないで世界を変える」を理念に掲げ、創業・シード期に特化して出資・インキュベーションを行っているベンチャーキャピタル。シードマネーとして500万円~1,000万円をCB(コンバーチブルボンド)で提供。また、既存投資先へのフォローオン投資も行い、スタートアップがプロダクトマーケットフィット(PMF)に到達するまで支援している。現在は日本・イスラエル・アフリカに投資をしている。そして近年は、オープンイノベーション支援にも力を入れている。
展開するアクセラレーションプログラムの中でもこだわっている点の一つ目は、テーマ設定。140社以上への投資を通じて培った経験によるリアルなテーマ設定が可能だ。たとえば、eiiconのような新しい交流の場を創りたいのか、AWSのような新しい収益の柱を創りたいのかなどすり合わせながらしっかりテーマを設定していく。もう一つのこだわりが、事業部の巻き込みだ。アセットがたくさんあるがアクセシブルでない状況を、事業部を巻き込みながらアクセシブル化していく。
同社は投資事業がメインのため、スタートアップのソーシングもしっかりでき、さらにインキュベーション自体も蓄積したノウハウを体系化しているため、経験値に基づいた支援が可能となる。
※取材記事: eiicon×サムライインキュベートによる「Open Innovation Program」がリニューアル!”ハンズイン”による本気の事業創出支援に取り組む理由とは。https://eiicon.net/articles/516
技術マッチング支援業者
●リンカーズ株式会社 https://www.linkers-net.co.jp/
東経連ビジネスセンター、中部経済連合会、九州経済連合会等とも連携することで、大企業・中堅企業のニーズと中小・ベンチャー企業が有する技術シーズのマッチングサービスである「Linkers」(リンカーズ)を運営。
「Linkers」は、世の中からベストな開発パートナー/部品調達先/OEM委託先等の取引先を抽出するビジネスマッチングプラットフォームとなっている。
また、同社が手掛ける企業・大学・専門家の技術・製品を繋ぐビジネスプラットフォーム「eEXPO(イーエキスポ)」は、中小・ベンチャー企業を中心としたさまざまな業界の企業が製品や技術を展示するweb 上の常設展示会である。
●ナインシグマ・アジアパシフィック株式会社 http://ninesigma.co.jp/
"モノづくり企業の支援を通じて、安心して幸せに暮らせる未来を築く"をミッションに掲げ、2006年の設立以降、国内企業のオープンイノベーション活動を支援。世界最大級の研究機関・大学・中小ベンチャー企業の技術者と独自のネットワークを通じて、お客様が自社のみでは集められない技術情報や解決できない技術課題に対する解決策を見つけ出し、コミュニケーションのプロが外部との橋渡しをする、いわゆる「技術導入型のオープン・イノベーション」を手がけている。
※取材記事:【特集インタビュー】ナインシグマ諏訪代表から見たオープンイノベーションの今とeiiconhttps://eiicon.net/articles/144
【オープンイノベーションの立役者たち】2003年から800件以上を支援してきたナインシグマ代表・諏訪氏が語る「オープンイノベーション成功のカギ」とは?https://eiicon.net/articles/181
●株式会社リバネス https://lne.st/
<教育><人材><研究><創業>の4分野に焦点を当て、パートナー企業と共に現場を応援するプロジェクトを推進している同社。特徴は、研究者のみの企業であること。さらに研究者3,000人、教員2,200人のネットワークを育成・活用し、イノベーションを起こし続けている。また、リアルテック・ベンチャーの育成プログラムである<テックプランター>を展開。大学関係者、研究機関、アーリーステージのベンチャー、さらには試作を支援する町工場や資金面を支援する投資家、そしてイノベーターとのパートナーシップを求める大企業など、多種多様な人々を巻き込んで科学技術の社会実装に取り組んでいる。
※取材記事:【インタビュー】 次の技術トレンドは何か。社員の半数以上が博士号を持つ研究者集団「リバネス」の西山氏が分析。 https://eiicon.net/articles/411 https://eiicon.net/articles/412
イントレプレナー支援事業
●三井不動産・BASEQ https://www.baseq.jp/
三井不動産が展開するBASE Qは、イノベーションや新たなムーブメント創出の基点となる交流を目的としたコミュニティだ。ベンチャー企業、NPO、官公庁、大企業のイントレプレナー、テクノロジスト、クリエイター…多様なバックグラウンドを持つ人々が日々交わりながら、新たな価値創造や社会課題の解決を目指している。
また、BASE Q独自のプログラムとして、大手企業とベンチャー企業の連携を促し、新しいビジネス創出を支援する「BASE Qイノベーション・ビルディングプログラム」を提供。オープンイノベーションを生み出すために欠かせない諸要素、戦略整理/マッチング/事業共創に対し、的確なサジェスチョンとサポートをしている。
※取材記事:【記者会見レポート】三井不動産、「東京ミッドタウン日比谷」内のビジネス創造拠点「BASE Q」においてサービス提供開始~イントレプレナーを育成・日本の大手企業の新規事業創造へ~https://eiicon.net/articles/467
●株式会社アルファドライブ https://alphadrive.co.jp/
科学された社内インキュベーションの仕組みを持つ、日本企業向け、IaaS(Incubation as a Service)カンパニーであるアルファドライブ。「ただのサラリーマンから社内起業家へと変革する人材育成プログラム」など、企業内新規事業開発に特化した、プライベート・インキュベーション・プラットフォームを構築している。
※取材記事 【イノベーターインタビュー】 「すべての日本企業に、新規事業創造の力を」――元リクルート・麻生要一氏の挑戦。 https://eiicon.net/articles/479
コンサルティング会社
●デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtvs/dtvs.html#
「挑戦する人とともに未来をひらく」をミッションに、ベンチャー企業・大手企業・官公庁/地方自治体等が協働し、数多くのイノベーションを生み出す世界を目指しているデロイト トーマツ ベンチャーサポート。主な活動として、国内外約3,000社のベンチャー企業支援・大手企業イノベーションコンサルティング・官公庁向け政策提言/実行支援を手がけている。
●株式会社グロービス https://www.globis.co.jp/
同社では、「グロービス・テクノベート・ラボ」を通じ、大手企業とスタートアップのマッチングおよび新規事業計画の共創を、アクセラレータープログラムの企画運営支援を通じ後押ししている。また、大手企業の新規事業開発やスタートアップの経営支援の経験豊富なグロービス講師陣が、「実行前提」でメンタリングを行っている点も大きな特徴となっている。
●アクセンチュア株式会社 https://www.accenture.com/jp-ja/new-applied-now
革新的かつ創造的な破壊を生み出し、迅速な成長を実現するための支援体制「アクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャ」を発足させた同社。これにより、新興テクノロジーに対する理解の深耕、実証実験や導入、さらには適用範囲の迅速な拡大を図ることが可能となっている。また、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京という拠点を立ち上げ、あらゆる業界に対する深い知見、先端技術や世界のデジタルトレンドに精通した同社のプロフェッショナルが、お客様と共同で革新的なアイデアを具現化させている。
※取材記事:【アクセンチュア×オープンイノベーション(1)】 オープンイノベーション拠点「アクセンチュア・デジタル・ハブ」を開設、日本が抱える社会課題を解決に導く。 https://eiicon.net/articles/82
●日本アイ・ビー・エム株式会社 https://www.ibm.com/jp-ja/
一般企業とスタートアップが斬新なビジネスアイデアの実現とサービス拡大を促進する新しい取り組み「IBM BlueHubオープン・イノベーション・プログラム」を展開している。このプログラムの中で同社は、新たな事業に必要となるプラットフォームやWatson等のソリューションの提供。さらに企業とスタートアップとの協業による事業化(ビジネスモデル構築の支援)を行っている。
※取材記事:【イベントレポート】IBM BlueHub DemoDay/第4期採択スタートアップ5社によるプレゼンテーション~最優秀賞に輝いた企業とは? https://eiicon.net/articles/433
【IBM BlueHubのインキュベーション・プログラム第5期募集開始!】プログラムを終えた第4期採択企業2社が登場。事業をスケールさせた、IBMやVCによる独自メンタリングとは? https://eiicon.net/articles/502
●株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(NTTデータ) http://www.nttdata.com/jp/ja/index.html
オープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」やグローバルのビジネスコンテストなどを核に、ベンチャー企業やお客様と、これまでにない最新の技術やビジネスアイディアを組み合わせた革新的な新規ビジネスの創出に取り組んでいる。
※取材記事:マネーフォワードやfreeeなど、著名スタートアップとの連携~商用化実績多数。世界15都市を巻き込みイノベーションを生み出すNTTデータの狙いとは。 https://eiicon.net/articles/428
イノベーション・オープンイノベーション支援事業者
●株式会社QUANTUM https://www.quantum.ne.jp/
大企業とスタートアップ異業種同士の組織といった従来では交わることのなかったものを、「重ね合わせる」ことにより、創造的破壊-DISRUPTION-を生み出すことを目的に設立されたQUANTUM。博報堂グループ、TBWAグループのリソースを最大限に活用しながら、大企業やベンチャー、研究所やVC等、業種・業態が異なる従来では重なることのなかった人・組織を共創させ、プロダクト・サービス、事業、ベンチャーを連続的に輩出している。
●株式会社SEEDATA https://seedata.co.jp/
”Game Changer”の誕生を早めることをミッションに掲げているSEEDATA。同社は2015年に博報堂DYグループ内に設立され、300を超えるプロジェクトでオリジナルの知見とネットワークを企業に展開している。「5年先の生活者像」を読み解き、進出する事業領域の決定と具体的事業の実行支援を得意とする。
※取材記事:【対談】博報堂DYグループのSEEDATAとeiiconが提携。大企業のイントレプレナーたちの協業でイノベーション支援の幅が拡大する。 https://eiicon.net/articles/417
●株式会社フィラメント http://thefilament.jp/
元公務員(大阪市職員)で「大阪イノベーションハブ」の立上げと企画を担当した角勝氏が立ち上げた同社。オープンイノベーションの手法を使い、ハッカソンやセミナーなどのイベントの企画、新規事業創出や人材育成に関する社内制度の設計をサポートしている。
※取材記事:個と個のつながりが、イノベーションを引き起こす。角勝が公務員の看板を脱ぎ、描きたかった未来図とは。 https://eiicon.net/articles/37 https://eiicon.net/articles/36
●株式会社ワークハピネス https://www.workhappiness.co.jp/
同社は、「ミッション発見」を軸にイノベーションを創造するコンサルティング会社。“ミッション”や“提供価値”を起点とした新規事業開発を手がけている。また、志高い社会起業家と異業種次世代リーダーとのドリームチームで本格起業を目指す「ニッポンイノベーター塾」の運営も行なっている。
※取材記事:「大企業の次世代リーダーたちを目覚めさせる」ーーワークハピネスが”ニッポンイノベーター塾”をスタートさせた理由 https://eiicon.net/articles/272
●株式会社ボーンレックス http://www.bornrex.com/
事業プランニングから資金調達、営業支援、プロモーション、開発など、新規事業立ち上げのトータルサポートを手がけている。また、同社(または同社関連会社)ドメイン内で一気に新規事業を立ち上げ、その後、その事業を買い取っていただいたり、JVを立ち上げたりする「代理出産モデル」のオープンイノベーション事業も行っている。
●株式会社アドライト http://www.addlight.co.jp/
イノベーション創造支援会社として、オープンイノベーションのマッチングから事業化まで一気通貫で支援のほか、新規事業開発支援、国内外のスタートアップの育成支援等を手がけている。
WEBプラットフォーム
●eiicon https://eiicon.net/
オープンイノベーションプラットフォームであるeiiconは、全国各地あらゆる業界のスタートアップ・中小企業・大手企業から地方自治体・大学まで、資金調達・資金提供・共同研究などの様々なニーズに合わせ、Web上で探すことが可能。登録社数は3,600社を突破し、企業間の出会いの数は2,200を超えた。現在、100以上の共創関係が構築されてきており、多数のマッチング事例が生まれ始めている。インバウンドによるニーズから多数のアイデアソン・ハッカソン等のイベントやアクセラレータプログラムの支援も手掛ける。
※共創事例【eiiconユーザーインタビュー/コニカミノルタ・山口進氏】「eiiconを通じた偶発的な出会いが、新しい展開につながっていく」 https://eiicon.net/articles/249
※共創事例【【トークセッション】富士通×スタートアップの共創が活発化。アクセラレータプログラムをきっかけに新たな価値が創造される。https://eiicon.net/articles/341
※アクセラレータープログラム支援事例 コーセー×eiicon|コーセーとの共創におけるInnovation Program https://eiicon.net/about/kose-ip/
※イベント事例 SHARING NEXT INNOVATION https://eiicon.net/about/terrada-sni/
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※参考記事:【イベントレポート】Plug and Play Japan/Creww共催「スタートアップの成長に寄与するアクセラレーター、 各社の違いとは」 https://eiicon.net/articles/535