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共創によるインバウンド課題解決 「WANDER COMPASS」とは?

共創によるインバウンド課題解決 「WANDER COMPASS」とは?

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先日のeiicon lab記事<共創気質>(前編後編)でもお伝えした東急電鉄×Huber.による共創プロジェクトとして進められた「WANDER COMPASS SHIBUYA」が10月19日にオープンした。

訪日外国人向けガイドマッチング事業・地域PR事業を手がけるHuber.は、東急電鉄が展開しているアクセラレータプログラム「Tokyu Accelerate Program(TAP)」の第2期で優勝したスタートアップ。東急電鉄と共創を模索する中で、同社の路線である世田谷線沿線の「豪徳寺」を新たな観光資源として発掘し、国内外からの送客を実現した。さらに、東急電鉄がHuber.に対して2度出資。それに加えて、東急電鉄側の担当者である後藤修平氏がHuber.に出向し、執行役員として同社の牽引する役割も担っている。

両社による新たなプロジェクトである「WANDER COMPASS SHIBUYA」は、外国人観光客向けのサービスを強化した観光案内所。東横線・田園都市線渋谷駅地下1階の「渋谷ちかみち総合インフォメーション」をリニューアルし、開設された。

外国人観光客の利便性向上を目的に誕生

「WANDER COMPASS SHIBUYA」で開催されたプレス向け内覧会には、東急電鉄の後藤氏とHuber.の担当者が出席。冒頭に後藤氏は、「スタートアップであるHuber.と連携していくことで豊富なサービスラインナップを提供し、さらには尖ったサービスも生み出していきたい。そして、WANDER COMPASS SHIBUYAを”旅の起点”になるような施設にしていきたい」と話した上で、同施設が誕生した背景やサービス概要についての説明を行なった。

▲東京急行電鉄株式会社 経営企画室 経営戦略部 管理課 課長補佐 兼 観光事業開発部 企画開発課 後藤修平氏

2003年に東急電鉄に入社。鉄道事業本部を経て、2013年から経営企画室に異動。2016年からは観光事業開発部 企画開発課を兼務している。さらに、株式会社Huber.に出向し、主にセールス部門を担っている。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて、増加する外国人観光客の利便性向上を目的に誕生したという「WANDER COMPASS SHIBUYA」。増加する外国人観光客に対して、オンラインだけで解決できない旅の悩みをワンストップで解決することにより利便性を向上。リアルタッチポイントとしての地位を確立すると共に、外国人観光客にタッチしたい自治体や事業者に事業機会を創出して地域活性に貢献することをコンセプトとしている。

Huber.のスタッフが常駐し、外国人観光客に対応

「WANDER COMPASS SHIBUYA」の最大の特徴は、英語対応可能なHuber.のスタッフが常駐しているという点にある。Huber.のスタッフは、外国人観光客の希望を聞きながら旅のプランを一緒に考えていく。その際に活用されるのが、Huber.が提供している「たび診断」の専用端末だ。この端末を使用すれば、外国人観光客の潜在的な旅行ニーズを端末上でヒアリングすることが可能となる(※以下デモンストレーション画像参照)。

さらに、外国人観光客の潜在的なニーズや特性を把握できるだけではなく、「たび診断」の回答結果を元に、旅をゲストごとに提案し、オーダーメイドのガイドサービスが実施できる。また、「たび診断」を通して得た定量的なデータと、実際のガイドから得た定性的なデータを組み合わせて、新しい観光資源を発掘することにも活用。外国人観光客の多様な要望に応えていくということだ。

【「たび診断」のデモンストレーション】

▲内覧会で実施された「たび診断」のデモの様子。チャットボットによって「どこの国から来たの?」、「何回日本に来たことがある?」、「行きたい場所は?」、「予算は?」といった質問がゲストに投げかけられ、答えていくと複数のプランが提示される。気に入ったプランを選ぶと、そのプランを作成したガイドとマッチングし、コミュニケーションが取れるという仕組みだ。

自治体・事業者のプロモーションにも活用できる

「WANDER COMPASS SHIBUYA」には、「たび診断」以外にも、渋谷駅構内および周辺案内などのコンシェルジェサービスや手荷物一時預かりサービス、宿泊・旅行手配サービス(外国人観光客向けツアー含む)、外貨を電子マネーなどに交換するサービス(ポケットチェンジ)など、数々のサービスを提供している。

また、畳を使用したスペースを設置して「和」を演出。日本を紹介する書籍類や観光パンフレットも充実させている。さらには、固定什器を最小限としてオープンで可変性のある空間を創出し、PR・イベントスペースとして活用することもできるという。この場を活用することで、自治体や事業者が外国人旅行者に対してプロモーション施策を実施することが可能となっている。

なお、「WANDER COMPASS」は10月1日に京都にもオープンしており、すでに「たび診断」やガイドマッチングサービスが多くの外国人観光客に利用されているとのことだ。

取材後記

渋谷駅の地下スペースという東急電鉄が持っている”ハード”と、Huber.が有している「たび診断」やガイドマッチングサービスという”ソフト”を掛け合わせて誕生した「WANDER COMPASS SHIBUYA」。両社が出会ってからわずか2年という月日の中で、スピーディーに共創プロジェクトが実を結んでいる。増加し続けている外国人観光客に対して、どのように観光資源を提供し、旅を楽しんでもらうのか。両社によるオープンイノベーションに今後も注目していきたい。

(構成・文:眞田幸剛、取材:曽田将弘、撮影:佐藤淳一)

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