三井不動産、ライフサイエンス領域のイノベーション創出支援「賃貸ラボ&オフィス」事業を開始
三井不動産株式会社は、これまで日本橋を中心に進めてきた、ライフサイエンス領域におけるイノベーション創出を支援する取り組みをさらに一歩先へと進め、オフィスビル、住宅、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設に続く、新しいアセットクラスの不動産事業である「賃貸ラボ&オフィス」事業を開始することを発表した。
三井不動産はこれまで、ライフサイエンス領域において、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(以下 LINK-J)と連携した「コミュニティの構築」、イノベーションによる新産業の創造・育成につながるエコシステムを構築するための「場の整備」、およびライフサイエンス系ベンチャー企業への LP投資をおこなう「資金の提供」に取り組んできた。
この度発表した「賃貸ラボ&オフィス」事業は、ライフサイエンス領域のイノベーション創出に必要である「本格的なウェットラボ(※1)」と「オフィス」が一体化した施設の賃貸事業となる。今後、この事業を「三井のラボ&オフィス」事業とし、LINK-J との連携によりハードとソフトを一体で提供することで、日本のライフサイエンス領域における研究開発環境の課題解決に貢献し、イノベーション創出を目指す。
2019 年 4 月からは、各街づくり部門、各商品本部とさらなる連携を図り、事業エリアを拡大していくため、「ライフサイエンス・イノベーション推進室」を「ライフサイエンス・イノベーション推進部」に改組し、さらに事業を拡大していくという。
※1)ウェットラボとは、創薬や再生医療等の研究者が液体気体等を使って実験を行う場所のこと。
事業の特徴
■都心近接地に開設
日本におけるライフサイエンス領域の「賃貸ウェットラボ」は、都心近接地に少なく、研究する環境の選択肢が少ないという課題があった。今回の「三井のラボ&オフィス」事業では、都心近接地にラボを展開。第一弾は、第一三共株式会社と連携して、第一三共葛西研究開発センター内に「(仮称)三井リンクラボ葛西」を開設する。さらに第二弾として、新木場二丁目に「(仮称)三井リンクラボ新木場」を開設するという。
都心近接地に立地する「賃貸ウェットラボ」を利用することで、都心に集積する大学や医療機関等、ライフサイエンス領域のキープレイヤーとの共同研究や、シーズの事業化および異業種企業とのコラボレーションを通じて、研究開発のさらなるイノベーションの創出が可能になる。また、利便性の高い立地であることから、豊富な人材の獲得や、ベンチャーキャピタルなど資金提供者との交流機会増加に繋がる可能性も高まる。
さらに、職住近接を可能にすることで、ワーカーの通勤時間を短縮し、働き方改革の実現に貢献する。
プライベート時間の充実はもちろん、結婚や出産・子育て等と両立した研究職の継続・復職しやすい職場環境を作り、ワーカーのライフスタイルを向上させるという。
■オープンイノベーションを創出
「賃貸ウェットラボ」と「賃貸オフィス」が一体となった空間により、コミュニケーションを活性化。また、三井不動産と LINK-J が日本橋で構築してきたライフサイエンス領域のネットワークを、同ラボ施設でも展開することにより、異業種を含めた様々なプレイヤーが集まり、オープンイノベーションの創出に貢献する。
■充実した研究環境の提供
「三井のラボ&オフィス」のウェットラボは BSL2(※2) 対応(一部 BSL1 対応の区画あり)となっており、幅広い研究を行うことが可能。また、共通実験機器室のほか、共有の会議室、コミュニケーションラウンジも整備しており、コストの削減はもちろん、入居する他企業や異業種など社内外の活発なコミュニケーションを促進する。
加えて、近接する研究開発の支援機関との連携を実施することで、研究の効率化が可能となるとともに、三井不動産と LINK-J が展開するライフサイエンス拠点のラウンジ等も利用できる。将来的には各拠点間のネットワーク化を図り、日本橋・葛西・新木場を結ぶ研究開発環境における日本型エコシステムの形成を図るという。
※2 BSL(biosafety level)
細菌、ウイルスなどの微生物、病原体等を取り扱う実験室、施設の格付け。世界保健機構(WHO)が制定した Laboratory Biosafety Manual(実験室バイオセーフティ指針)に基づき、各国で病原体等の危険性に応じた 4 段階のリスクグループ毎の取り扱いが定めれている。BSL2 は、疾患を起こす可能性があるが、重大な災害となる可能性のない病原体。
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(eiicon編集部)