
障がい者、6,000人のパワー。
こんにちは。新規事業の専門職の守屋です。
前回は「一般社団法人の創業」について書かせていただきましたが、今回は、「障がい者が主役」という事業の立ち上げについて、書いてみたいと思います。
・意志ある可能性に愛を
・6,000名を超える障がいをもつプロフェッショナルによるアウトソーシングサービス
・VALT JAPAN株式会社
・http://valt-japan.com/
以前、「規制に挑む」という話を書かせてもらいました。ケアプロと言う会社で、6年かけて岩盤規制に挑み、法改正を実現した話です。
このVALT JAPANでの今の取組みは、「挑む」というよりは、「国と一緒に、より良い仕組みを創っている」という方が、実態を表している感じです。
ご存知ない方もいるかもですが、じつは、我が国には、「2%ルール」なるものが存在します。これ、何かと言うと、より正確には「障がい者雇用促進法」と言って、一定数以上の従業員を雇用する事業主は、法定雇用率以上、障がいのある方の雇用をしなければならない、というルールなのです。2018年には、民間企業では2.0%から2.2%に、国や地方公共団体等では2.3%から2.5%に、都道府県等の教育委員会では2.2%から2.4%になりました。さらに、2021年3月までに、さらに0.1%ずつ引き上げられることが決まっています。
これ、我が国単位で考えると、当たり前の考え方だと思います。「全ての国民が、障がいの有無に関わらず、個人として尊重され、分け隔てられずに共生する」というノーマライゼーションの考え方に基づいている訳ですし。
ただ、個々の現場単位で言うと、「うまく雇うことが出来ない」「うまく働くことが出来ない」という現象が、ここかしこで起こっていて、「べき論」だけで済ませられるほど、物事は単純じゃなかったりしています。少なくとも自分は、世の中に問題がここかしこに散在している、と思っています。
例えば、
・ほんの少しの身体障がいでほぼ健常という障がい者は、とっても人気があって、採用市場で「瞬間蒸発」する。
・一方、精神障がい者は、双方ともに難しいケースが多く、「毎日出社すること自体困難」だったり、「個々人の体調に合った働き甲斐を与えることが困難」だったりする。
・全体としても、採用自体が困難だったり、採用しても短期で退職してしまうケースが多く、該当事業主は、法定雇用率を守れずに、不足分相当の罰金障害者雇用納付金を払っている。
・しかも、対象企業10万社のうち、なんと半分の5万社が、法定雇用率を守れずに罰金を払っている。
・双方の努力によって、一部の職場においては、非常に好ましい実績を叩き出しているが、それはごく一部で、且つ多くの他事業者にとっては「模倣困難」となっている。
・このまま、0.1%ずつの引き上げを継続し続けることは、企業も国も、苦しいと思っている。
みたいな感じです。なので、その社会課題に、まっこう手を打っていきたい。それが、VALT JAPANだったりします。だから、
・障がいを持つプロフェッショナルによるアウトソーシングサービスという「事業」を営みながら、
・障がい者雇用促進法の「制度改正」にも、取り組んでいます。
(法改正におけるより具体的な論点は、①みなし雇用制度法定雇用率への加算計上、②調整金・報奨金、③優遇税制)
自分の人生、主役は「じぶん」だ。
VALT JAPANは、圧倒的に「機会」が不足している社会的弱者のために存在する、ソーシャルビジネスカンパニーである。
ぜひ、応援くださいっ!

守屋実株式会社守屋実事務所
1992年ミスミ入社、新規事業開発に従事。 2002年新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口氏と創業、複数事業の立上げおよび売却を実施。 2010年守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任後、博報堂、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA、AuB、みらい創造機構、ミーミル、トラス、JCC、テックフィード、キャディ、フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業、JR東日本スタートアップなどの取締役など、内閣府有識者委員、山东省人工智能高档顾问を歴任。 2018年にブティックス、ラクスルを、2か月連続で上場に導く。 著者に「新しい一歩を踏み出そう! 」(ダイヤモンド社)がある。
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