新規事業・新規事業部立ち上げメンバーを集める際の3つのフレームワーク
今回は「新規事業立ち上げにベストなメンバー」に焦点をしぼり、簡単に活用できるフレームワークを解説いたします。
新規事業立ち上げメンバーに関してよくご相談される課題は
・どんな人がいいのか
・どのように集めるのか
・どう育てればいいのか
という主に3つです。
今回はこの3つの課題という観点から新規事業立ち上げにベストなメンバーについて解説していきます。
新規事業立ち上げメンバーに必要な3つの条件
1.異端の経験があること
以前に以下の記事で詳しく解説していますが、あらためて解説すると、海外を放浪したり、学校に通っていたり、プラプラ期があるなど、何かしらの異端の経験があることが重要です。
新規事業を成功させる起業家脳の作り方⑧キャリアを積み重ねない
異端の経験は、総合的な体験とビジョンを得られるきっかけとなることが多いのが特徴です。
総合的な体験とは、たとえばモノ作りで生産、管理、原価計算などのスキルが総合的にあるという意味ではありません。サービスでもモノでもよいので、何もないところから価値あるものを立ち上げて、自分で良さを説明し、メンバーを増やして、それに対してお金を出してくれる人を探して大きくしていくまでの一連のプロセスを、小さくてもよいので体験するという意味です。
また、ビジョンは、海外をみて日本の課題に気が付いたり、自分のキャリアをあらためて客観視することができたり、自分の好きなものにあらためて向き合ったりすることで生まれます。
このように、課題意識に気が付き、ビジョンを持ち、総合的に何かを立ち上げる経験の中で、自分のやりたいことをやってみようと起業に至る人が多いというのが、私のこれまで見てきた経験からいえることです。
ただし、異端の経験がある人にはそういう確率が高いという意味なので、必ずしもそうしてなければいけないということではありませんが、一つの目安として、そういった人にはビジョンと総合的な体験の経験があることが多いといえるでしょう。
2.若手と経験者の組み合わせ
基本的に新規事業は、元気に長く働くことのできる若い人たちにやってもらうことをオススメします。新規事業の場合は、これから会社にナレッジを伝承していくという意味でも、若い人が多いほうがよいでしょう。
ただしこれは、シニアや経験のある人がダメという意味ではありません。以前の記事では、新規事業部立ち上げの際のポイントについて解説していますが、逆に社内ベンチャーを興そうとか、新しい事業を興そうというときには年齢は関係ありません。
新規事業部は経験やスキルのある人が少ないので、なるべく若い人がそのノウハウをためて、社内に出していけばよいのですが、新規事業そのものを実行するときは、経験があったほうがいい場合もあるので、ベテランも積極的に活用してよいでしょう。
3.やりたい事業のからくりを理解していること
よく、「外交的な人の方がよいのではないか」と言われますが、内向的であっても大丈夫です。必要なのは自分でゼロから価値あるものを立ち上げ、話すのが苦手でも仲間を説得できて、それを売る人を見つけられることであり、外部に対して積極的である必要はありません。
一方、最近、WEBサービスなどの社長は「エンジニア出身の人がよい」と言われているように、サービスやプロダクトを作るための背景知識があることは重要なポイントです。エンジニアであれば、サービスを作るためにどのくらいの日数や人数が必要かが分かるのと同様に、自分がやりたい新規事業そのものの、サービスやプロダクトのからくりが分かっていた方が強いといえるでしょう。
たとえばSEEDATAの場合、消費者調査のデータを活用して事業を行っているのですが、創業者である私は、消費者調査や消費者心理のからくりについてかなり詳しい必要があります。
ほかにも、営業の会社であれば、さまざまな営業のからくり、どのようにモノを売ってきたか、営業のチームを育てていくプロセスなどを理解している必要がありますし、ハードウエアの会社なら、ハードを作った経験がある人のほうがよいと個人的には考えます。
とにかく、経営者そのものは経験はなくとも、事業のからくり理解していることは非常に重要です。
以上が新規事業そのものを立ち上げる人に重要な要素です。
繰り返しになりますが、新規事業部の人たちやマネジメントする人たちは、若めで外交的な人たちで、実際実行するのはからくりを理解している人たちという組み合わせが最高のタッグといえるでしょう。
また、最近は顧問を派遣してくれたり、エキスパートヒアリングがおこなえるスポットコンサルティングのようなサービスが増えています。
大企業向けの新規事業でも中小企業向けの新規事業でも個人でベンチャーを始める場合も同様ですが、事業を始める際には少なくとも「起業のプロ」と「業界のプロ」という2種類の知識を持った人材が必要です。
業界のプロは専門に雇うという意味ではなく、関わっていくべき人材という意味です。エキスパートヒアリングやスポットコンサルティングの役割については、詳しくはこちらの記事をご参考にしてください。
本記事で紹介した内容は弊社blogでも詳しく解説していますが、発売中の『CORPORATE STARTUP BIBLE』でさらに詳細に解説しています。新規事業推進でお悩みの担当者さまはぜひお手にとっていただければ幸いです。
語り:宮井 弘之。SEEDATA代表。
構成・文:松尾里美。SEEDATAエディター。
宮井 弘之株式会社SEEDATA
2002年、博報堂に新卒入社。情報システム部門に配属後、博報堂ブランドイノベーションデザイン局へ。新商品・新サービス・新事業の開発支援に携わり、2015年に社内ベンチャーであるSEEDATAを創業。 【株式会社SEEDATAについて】 2015年に博報堂DYグループ内に設立され、300を超えるプロジェクトでオリジナルの知見とネットワークを企業に展開。 “先進的な生活者群(=トライブ)の行動や発言に、隠された心理や価値観を発見することで、5年先の生活者ニーズを明らかにすること”を、ミッションに掲げる。主に「インテリジェンス事業」と「インキュベーション事業」の2つのアプローチで、クライアント企業のイノベーション支援を手がけている。
株式会社SEEDATA
代表取締役CEO