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未来の25億人アフリカ市場を牽引するデジタル革命

未来の25億人アフリカ市場を牽引するデジタル革命

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寺久保拓摩

現在アフリカ大陸は経済発展の転換期を迎えている。2050年には25億人が暮らす巨大市場となり、世界人口の4人に一人がアフリカ人となる。そんな未来が確実に来ようとしているのだ。2019年現在、25歳以下の人口が60%を超え、国によっては平均年齢が10代の国も存在する。圧倒的大多数を占めるデジタルネイティブがテクノロジーと共に社会の仕組みを作り、経済を発展させている。私はアフリカスタートアップに特化したベンチャーキャピタルを立ち上げ、昨年5月から現地に移住し、アフリカ各国のスタートアップへの投資と事業成長を支援している。一言でアフリカと言えど、54カ国も存在し国毎に文化も宗教も言語も違う。現在私は各リージョンの経済規模の大きな国かつ公用語を英語としている国を中心に投資をしている。主に、東でケニア、西のナイジェリア、南アフリカだ。今まさにそんなアフリカ大陸はデジタル技術を通じて大きく経済が発展しようとしている。

例えば、ケニアは東アフリカの経済ハブとして首都のナイロビを中心に凄まじい速度で経済発展が進む。モンバサ港を中心に貿易が盛んであり、内陸国が多いアフリカの国への玄関口としても機能している。ケニアの特徴としては、やはり2007年にケニアの学生により生まれた電子決済・個人間送金サービス「Mペサ」である。約80%の人が銀行口座を持たないアフリカ大陸では、そもそも都市銀行のネットワークが脆弱で利用者が都会の富裕層などに限られている。預金ができず、現金しか持てないという状況は改善するべき問題であり、より安全に早く店舗での決済ができ、自分の家族に送金ができるMペサが登場以来、アフリカ中にモバイルを基軸にした電子マネーが爆発的に普及したのだ。現在、ケニアのモバイルの普及率は108%、スマートフォンに関しては57%の人が保有するまでとなり、ケニア国内3300万人が利用するMペサ上での取引額はケニアGDPの約半数を超えたという。Mペサを通じたトランザクションでは、誰がどこで何時に何を購入し、誰に送金しているのかというデータが取れるようになった。それがAPIとして提供され、決済や送金だけでなくあらゆるサービスと繋がることが可能となった。そこにチャンスを見出したのが現在アフリカ市場で爆発的に増加するスタートアップ企業である。

このように10年以上前から欧米資本を元に通信インフラへの投資が盛んに行われ、モバイルを軸とした電子決済・送金サービスが広がり、モバイルの価格が下がったことで誰でもそれを手にすることができるようになった現在、人々の生活はモバイルを中心に設計され始めているのだ。

先進国のように農業革命から産業革命を経て情報革命時代に発展してきた場所とは大きく違い、情報革命から経済発展するアフリカ大陸では、物流や電力・ガス等のエネルギーや、医療・教育のインフラが整う前に、モバイルが先に人の生活に浸透した上で、どのように物流の仕組みを作るのか、十分な医療を提供できる仕組みを実現するのか、最適なエネルギー供給を行うのかを設計していく。そんなアフリカ大陸においてスタートアップが担う役割は他の大陸と比べて大きく違い、デジタル技術を活用しながら人の生活インフラから構築することが求められている。前提が存在しない限られたアフリカ大陸のリソースの中で、より低コストで効率的な社会の仕組みを創ることが彼らの最大のチャレンジである。


例えば、住所がないアフリカでのモバイルを軸にしたラストワンマイルの仕組みや、道路の整っていない山間部のドローン配送、農業や漁業サプライチェーン改善、医療設備が整わない中で遠隔医療、救急車を呼ぶ仕組み作りや、ソーラーを使った未電化地域へのエネルギー供給等々、スタートアップを中心に国の発展において必要な機能をデジタル技術を活用しながら構築されている。

最後のフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸だが、単なる未来の巨大市場というわけではなく、既得権益や社会の不透明さを超えて、新しい発想で他のどの地域でも生み出せない人々の豊かさとテクノロジーが密接する未来都市が生まれることを期待している。それこそが世界の最先端となり、アフリカから世界へ展開する全く新しいモデルとなる。そんな「リープフロッグ」を生み出すことが近い将来アフリカ大陸の発展を牽引する大きな要因になるだろう。

寺久保拓摩

バングラデシュのグラミン銀行でマイクロファイナンス事業に従事、金融の力で企業群を生み出すことが世の中に多くの価値をもたらすことを知り日本へ帰国。その後2013年にサムライインキュベートへ入社し
日本・イスラエルを中心にオープンイノベーションを実施し多数のスタートアップ・大企業を支援。その後、アフリカ市場に特化したベンチャーキャピタルを立ち上げ、現在16社の現地スタートアップ企業への投資を実行中。

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  • 富田直

    富田直

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