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ヘルステックで未来を切り拓くOIプロジェクト7選

ヘルステックで未来を切り拓くOIプロジェクト7選

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大企業とベンチャー企業によるオープンイノベーションを実践する取り組みを紹介する「未来を切り拓くOIプロジェクト」。今回はヘルステック分野にフォーカスして有力な共創プロジェクトを7つピックアップしました。

ヘルステックは「ヘルスケア」と「テクノロジー」をあわせた造語で、言葉のとおり医療や健康管理などのサービスを指します。

様々な異種の専門家同士の技術が混ざり合うことで、私達の健康にどのような変革を起こそうとしているのでしょうか。プロジェクトの概要を見ていきましょう。

【JINS×坪田ラボ】慶應発ベンチャーによる、近視の進行を抑制するソリューション「バイオレットライト」

ジンズホールディングス(JINS)と慶應義塾大学の坪田一男教授が代表を務める慶應義塾大学医学部発ベンチャー 坪田ラボは2019年8月より、近視進行の抑制に効果があると考えられている光「バイオレットライト」について共同プロジェクトを開始しました。

プロジェクトでは、2050年に全世界の人口のうちの49.8%が近視に、9.8%が失明リスクのある強度近視になるという調査報告を受け、強度近視になってしまうリスクが高まっていることを課題視しています。

そのため、2020年以降に治験を実施した後、世界初となるバイオレットライトを使った“近視進行抑制メガネ型医療機器”の製造販売承認取得を目指し、管理医療機器事業に本格参入する。同機器の開発は、メガネが持つ「視力補正」という根本的な役割を「近視の進行そのものを抑制するソリューション」へと拡大させる計画です。

関連記事:JINS×慶應義塾大学発ベンチャー | 「バイオレットライト」共同プロジェクトを開始

【デンソー×Beyond Next Ventures】医療IoT新会社「OPExPARK」を設立

Beyond Next Venturesとデンソーは2019年9月、デンソーが開発した情報プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」の技術を活用して事業展開するカーブアウトベンチャー「OPExPARK(オペパーク)」を設立しました。

新会社では、手術機器情報統合システムの開発・販売と医師向け教育コンテンツの制作・配信サービスを行い、グローバルな医療の質向上に貢献するといいます。

オペパークは同年10月から事業を開始しており、「オペリンク」を活用した手術機器情報統合システムの開発・販売と、同システムから抽出したデータを基に、いつでも・どこでも最先端の手術が学べる教育コンテンツを制作・配信するサービスに取り組み、国内外の医療の質向上を目指します。

関連記事:Beyond Next Ventures×デンソー|医療IoT新会社「OPExPARK」を設立

【豊田通商×M-aid】パーソナルヘルスデータを活用し「健康経営」を実現へ

AIを活用した健康管理アプリ「HEALTHY LAB(ヘルシーラボ)」を開発するM-aid(エムエイド)は、2019年9月に豊田通商からヘルステックの機能強化を目的とした資金調達を実施しました。

豊田通商は、健康管理サービス「TIES(タイズ)」と、フィットネスジム対応コンサル型健康管理サービス「からだステーション」を推進しており、M-aidは個々人の医療データやライフログ、勤怠データなどを一元管理することが出来るシステム「ONLINE KARTE(オンラインカルテ)」を開発・運営しています。

両社が持つこれらのサービスをベースに、「パーソナルヘルスデータを集める仕組み」と「データに基づくパーソナライズドサービス」を組み合わせ、企業や健康保険組合に対して「健康経営」の実現に向けたソリューションを提案する予定です。

参考記事:豊田通商、データを活用した予防医療を展開するM-aidと資本・業務提携

【日経×メドピア】三国志を起用した、歩いてポイントを貯めるアプリ「日経歩数番」

日本経済新聞社とメドピアの連結子会社であるMediplat(メディプラット)は2019年9月、共同事業として毎日の歩数や日経電子版の閲読に応じてポイントが貯まる歩数記録アプリ「日経歩数番〜三国志令和バージョン〜」の提供を開始しました。

なお、メドピアは、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営する企業で、Mediplatは産業保健支援サービス「first call」の運営などを行っています。

「日経歩数番」は、アプリを起動して歩いたり、日経電子版を読むだけでポイントが貯まる歩数記録アプリ。貯めたポイントはAmazonギフト券に交換することができます。アプリには日経電子版のCMでも起用された横山光輝氏が原作の三国志のキャラクターも登場します。

参考記事:日本経済新聞社×メドピアグループ|歩く&読むだけでポイントが貯まる歩数記録アプリを共同開発、「日経三国志」も登場

【バイエル薬品×Buzzreach】治験参加者のリテンションを維持する「Study Concierge」

製薬大手のバイエル薬品は2019年10月に同社が取り組むアクセラレータプログラム「G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day」の採択企業を発表しています。

そのうちの一社が、治験の課題解決を目指すBuzzreachです。Buzzreachは製薬会社が実施する治験情報を一般向けに公開することができる製薬会社向けのシステム「puzz(パズ)」や、患者と臨床試験実施医療機関を繋ぐメディア「smt(エスエムティ)」を運営する企業。

「治験参加者のリテンション(モチベーション維持)」という課題を解決するために、両社は「服薬管理機能」「来院カレンダー」「検査結果の管理機能」などを搭載したアプリ「Study Concierge(スタディコンシェルジュ)」を共同開発します。

Buzzreachはこの他にも、2019年12月に開催されたグロービスが主催するアクセラレータプログラム「G-STARTUP」でも最優秀賞に選ばれていて、グロービスの持つネットワークやヒトモノカネといったアセットを活用することができるため、今後に期待がかかっています。

関連記事:デジタルヘルス最前線――ITスタートアップとの共創でヘルスケア市場を変革する

関連記事:最優秀賞は、あのヘルステックベンチャー!グロービスのアクセラレータープログラム「G-STARTUP」デモデイをレポート

【バイエル薬品×ハカルス】高い解釈性と透明性を実現したMRIの読影

Buzzreachと同様に、バイエル薬品の主催するアクセラレータプログラム「G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day」で採択された医療向けAIを開発するハカルス。

MRIを撮影する技術は日々進歩しているものの、画像から異常を見抜く読影は専門性が必要とされていて、属人的になってしまう課題があります。ハカルスの開発する読影に特化したAIでは、一般的なディープラーニングではなく「スパースモデリング」を採用しています。スパースモデリングは高い解釈性と透明性が特徴で、診断結果に行き着く過程がブラックボックスになってしまうディープラーニングとは異なり、人間が会社くできる形でアウトプットが可視化されます。

さらに学習に必要なデータの量がディープラーニングと比較して100分の1、場合によっては1000分の1のデータ量で、同等以上の精度が出せるため、少量の教師データでAIを構築できる利点もあります。

関連記事:デジタルヘルス最前線――ITスタートアップとの共創でヘルスケア市場を変革する

【富士フイルム×PuREC】遺伝性疾患を対象にした再生医療製品の開発・製造・販売

骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた再生医療製品の実用化を目指す再生医療ベンチャーのPuREC(ピューレック)は、2019年6月に富士フィルムから3億円を調達しています。出資に伴って、両社は再生医療製品の開発・製造受託に関する業務提携契約も締結しました。

富士フイルムは資本・業務提携によって、骨の石灰化が障害される遺伝性疾患である「先天性骨形成不全症」を対象に研究開発を進めている再生医療製品の開発・製造・販売ライセンス導入の優先交渉権を取得しています。

加えて、PuRECが手掛ける再生医療製品のプロセス開発や薬事コンサルティングなどを、富士フイルムの子会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが受託することで再生医療受託事業を拡大させていく狙いがあります。

参考記事:富士フイルム、島根大発の再生医療ベンチャー・PuRECへ出資

【編集後記】大企業のOI推進でベンチャーの研究成果が加速

医療の研究・開発を継続するには、常に資金繰りの問題が隣り合わせであります。いくら実用性があって尖った技術をベンチャーや研究機関が持っていても、資金が底をつけばプロジェクトはストップしてしまいます。

その点では、大企業が積極的にOIを推進するようになったことは医療ベンチャーや研究機関にとっては新たな選択肢となり得ます。相互の目標と求めるアセットが合致していれば、企業の規模は関係なく共創を実現できる機械は着実に増えてきているようです。

(eiicon編集部)

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