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新産業の共創はクエスト(Industry-up Quest)

新産業の共創はクエスト(Industry-up Quest)

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留目真伸

7月にスタートしたSUNDRED株式会社と一般社団法人Japan Innovation Networkの共同運営による『新産業共創スタジオ (Industry-up Studio)』では、新産業の共創プロジェクトを実際に進めながら、アカデミア等の研究による最新の理論と実践での知見を組み合わせ、新産業共創のためのフレームワークと各種ツールの開発を行っています。近日中に発表予定の『Industry-up Studio Program』ではこれらのプロセスに基づくプログラムを提供し、広く公募するアイデアをもとに新たな分野における新産業の共創を進めていきたいと考えています。

さて、詳細はプログラム発表後に随時紹介していきますが、今回は最も基礎的で重要な要素である新産業共創のチームづくりについてのアイデアについて頭出ししたいと思います。まず、私たちの考えている『新産業』とは、共通善に基づく『新たな目的』のために『新たな関係性』を通じて発展しスケールしていく、新たなプラットフォーム型事業とアプリケーション型事業の組み合わせであり、Industry 4.0に基づくバリューチェーンの再編を前提とし、人間中心の新しいパラダイムに基づくものである、とイメージしています。

この新産業の共創は、まさに『新しい目的』を定義し、それを追い求めるチーム(パーティ)づくりからスタートするわけですが、何よりも重要なのは『勇者』による『クエストの宣言』に他なりません。

昨今、各所で開催されるアイデアソンやワークショップ等において、様々な業界や分野がどのように変化していくべきか、どのような課題が存在していてそれをどのように解決していくべきか、というディスカッションが多く行われるようになりました。自分が所属する組織・企業を超えて、共通善に基づく目的の定義と、そのための新たなエコシステムについてディスカッションを行うというのは素晴らしいことですし、中にはそのまま実装できたら良いのに、と思われるレベルの高いアイデアに到達しているものも少なくありません。しかしながら、残念ながら多くの場合そのアイデアは実行に移されることはありません。多くの場合、それぞれが所属する会社に戻るとせっかく盛り上がったアイデアとは別の日々の業務が待っていて、いつの間にかアイデアも忘れ去られてしまいます。また、新規事業の担当者やスタートアップ経営者であっても、大目的を達成するためのエコシステムの実装は一社でできるものではなく、個社の少ない予算やリソースだけではどうしようもありません。

この状況を最初に動かそうとする人が『勇者』です。勇者はスタートアップの経営者でも、大企業の新規事業担当者でも、中小企業の誰かでも、誰でも構いません。その『新しい目的』に対してコミットすることを誓い、聖剣を引き抜いて『クエストの宣言』を行う人です。個社の事業の話ではないので、『起業』しなければならないという話をしている訳ではありません。大企業や中小企業に所属したままでも、とにかくその『新しい目的』を優先して生きていくと決心した誰かが『勇者』となって立ち上がり、『クエストの宣言』を行うことが重要です。一つの『新しい目的』に対して複数の勇者が立ち上がっても良いですし、むしろ複数の多様な強みを持つ勇者がいた方が強力なパーティとなります。『勇者』の次に重要な存在が『賢者』です。勇者がクエストを始めるにあたり、どのようにそれを進めていくべきか必要な知恵を授ける存在です。実際には『賢者』となり得る人は世の中に多く存在するのですが、クエストの実践者となる『勇者』が立ち上がらない限りその知恵が『新しい目的』に対して活かされることはありません。『勇者』と『賢者』が揃ってクエストの地図・道筋の解像度が上がってきたら、一緒に戦う『戦士』や特殊な才能を提供する『魔法使い』を集めたり、文字通り『武器』を揃えたり、『大商人』のスポンサーシップを募ったりして、新産業共創のクエスト(Industry-up Quest)のパーティを充実させていくわけです。

難しい話に聞こえるでしょうか?確かにこれまでの個社に閉じた優先順位や仕事の仕方を前提にすると、全く違う世界の話に聞こえるかもしれません。しかしながら、今求められている新しいパラダイムにおける価値創造の仕組みづくりは、まさに『クエスト』であり、会社の枠を超えた『勇者』『賢者』『戦士』『魔法使い』『武器』『大商人』が個社の既存の慣習を超えて『新しい目的』を優先して動き出し、従来の取引関係ではない『新しい関係性』を築いていくことでゴールに近づいていくという、新しいゲームなのです。会社の枠を超えたゲームであり、多くの場合『戦士』を育成することにフォーカスしてきた会社の中や、企業同士の競争戦略をベースとしているMBAでも教えてもらうことは殆どありませんが、『目的』のために人が集まって事を成していく、ということそのものは太古の昔から私たち人類がやってきたことであり、今は『クエスト』と言えばゲームの世界のことのように認識されていますが、本来は実在する世界の中でこそ行われるべきことなのです。『新しい目的』のためのエコシステム、新産業を創っていくことで、個社の事業も成長していくことができます。

SUNDRED株式会社/一般社団法人Japan Innovation Networkが共同運営する『新産業共創スタジオ (Industry-up Studio)』はこの新しいゲームの『新しい共通言語』となるべきフレームワーク、プロセス、規約、インセンティブの仕組み等を提供し、『牧師』や『教会』としての機能を果たしていきます。Industry-up Questのフレームワークもプログラムの中に含まれており、パーティづくりから携わっていきます。

また、実際にはこの『新産業共創の仕組みづくり』そのものが一つのクエストであり、我々も『勇者』として聖剣を引き抜き『クエストの宣言』を行っているつもりです。現在進めているいくつかの新産業共創プロジェクトにおいても既に、それぞれの新産業において『勇者』が立ち上がっていくのを目の当たりにしてきました。我々も『新産業共創の仕組みづくり』に生きる自称『勇者』の端くれとして、既に立ち上がっている、また、新たに立ち上がってくるそれぞれの『勇者』を最大限支援し、共に支えあって旅をしていくつもりです。

世界は課題に満ちていて、『新しい目的』のために『勇者』が立ち上がるのを待っています。
さぁ、一緒に新産業の共創の旅に出よう。『Industry-up Studio Program』近日中に発表予定です。

留目真伸SUNDRED株式会社

早稲田大学政治経済学部卒業。総合商社、戦略コンサルティング、外資系IT、日系製造業等において要職を歴任。レノボ・ジャパン株式会社、NECパーソナルコンピュータ株式会社 元代表取締役社長。大企業のマネジメント経験、数々の新規事業の立ち上げ、スタートアップの経営を通じ、個社を超えて全体像を構想し自在に社会に対して価値を創出できる「社会に雇われる経営者(経営者3.0)」が求められていると実感。HIZZLE(ヒズル)にて「経営者の育成」「未来型企業へのトランスフォーメーション支援」に取り組む。株式会社資生堂CSOを経て2019年7月よりSUNDREDの代表に就任し、100個の新産業の共創を目指す「新産業共創スタジオ」を始動。

SUNDRED株式会社

代表取締役 / パートナー

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